環境製品・サービスの開発、環境経営においては、もう省資源、省エネルギーはやりつくしたと言われる位の技術的課題の解決の困難さ故に、ついつい要素技術の研究・開発を中心に考えがちです。 今回は、別の角度からアプローチすることで、そうした壁を乗り越えようとするユニバーサル造船の取組みから、環境負荷の削減、環境製品・サービスの開発、環境経営におけるイノベーションのあり方について考えます。
JFEホールディングス傘下のユニバーサル造船が、二酸化炭素(CO2)排出量を抑えた新型船の開発を強化する目的で、設計・技術部門だけなく、営業まで組み込んだ「次世代船開発部」をこのほど新設しました。
これまで同社では各テーマごとにCO2削減技術を研究し、設計段階で組み合わせていましたが、新組織がCO2排出量の削減目標を設定した上で、各技術者が研究を進める形に切り替えるとのことです。(出所:2010年6月8日 日本経済新聞 15面)
テーマを定めて、部門・機能横断型で開発を進めるのは、コストの50%削減など大胆なイノベーションが必要な時に採られている手法と同じですね。
二酸化炭素(CO2)排出量抑制、環境製品・サービスの開発、環境経営は、技術的なテーマが故に、ついつい要素技術の研究・開発、イノベーションを中心に考えられがちです。
しかし、他の技術イノベーション同様、要素技術の追求では、技術の改善レベルに留まったり、お客様の要望とはまったく違う方向に行ってしまったりと、なかなか製品・サービス、社会レベルのイノベーションにはつながりません。
結局お客様が求めているのは、要素技術のではなく、製品・サービスでの、製品・サービスのライフサイクルでのイノベーションです。製品・サービスでの、製品・サービスのライフサイクルのトータルでのイノベーションを考えると、個別要素技術での問題解決を図ろうとすると、非常に重くなったり、嵩張ったり、或いは消費エネルギー量が大きくなったりと、お互いに干渉しあったり、トータルのバランスを崩してしまったりする場合があります。反対に、要素技術ではなく、製品・サービス全体で、或いはそのライフサイクル全体でイノベーションを図ると、既存技術やその改善の組合せで、これまでの要素技術単独では起こせなかったブレークスルーが起せることは多々あります。
加えて、環境負荷削減に関るイノベーションは、商品・サービスの提供コストとお客様が払ってもよいと考える価格とのギャップが大きかったり、長期的に見ればトータルコストも確かに抑えられるのだが、イニシャルコストが大きく、それがお客様の採用の決断を鈍らせたり、そもそもの価値が使ってみないと分からなかったり、お客様に分かりにくかったりするので、ビジネスモデルのイノベーションも合わせて求められることが非常に多くあります。
ビジネスモデルまでのイノベーションを考えた時には、設計・技術部門だけでなく、営業、或いはお客様も巻き込んで、ボトルネックは何なのかをお客様視点で考えるのは開発の常套手段です。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます