自明の理とも思われる環境経営、環境負荷の削減ですが、産業界には根強い抵抗があります。その要因の一つには、温暖化ガスの削減もそうなのですが、省資源、省エネルギーの「省」や「削減」の文字が人々の反発を生んでいることにあるのではでしょうか。 今回は、規制やお金を掛けることではなく、もっと簡単にできる方法で、こうした反発や負のイメージを払拭する方法を一緒に模索してみましょう。
今回のテーマは、コスト削減の是非ではありませんので、それについてのこれ以上の議論はまたの機会にするとして、コスト削減がこれほどまでに毛嫌いされるのは、投資や出張、資料作成、広告宣伝、接待などの事業活動が抑えられるといった「削減」「削る」が持つネガティブな響き、イメージによるものも大きいでしょう。
このコスト削減に対する根強い反発から類推するに、省資源、省エネルギーも、「省く」「削る」という言葉が発するネガティブなイメージに対して、「もうこれ以上は削れないよ」と思わせてしまうところがあるのではないでしょうか?
私だけかもしれませんが、実際、省資源、省エネルギーという言葉で考えていると、ついつい省く発想しか浮かばなくなってしまいます。でも、実際には、コストも資源もエネルギーも、それらを有効活用することでアウトプットを増やし、アウトプット一単位あたりのコスト、資源、エネルギーを削減していくという手法があります。
コスト、資源、エネルギーの有効活用を主導するのは、着想であり、そのプロセスは非常にクリエイティブなものです。省資源、省エネルギーという表現が、そのワクワク感、クリエイティビティを奪っているのなら、ちょっと、表現を変えてみてはどうでしょう?
「活資源」、「活エネルギー」なんてどうでしょう?
もう一つ環境経営の推進で大きく不足していると思われるのは「気持ち」です。
環境経営関連でよく使われるキャッチフレーズに「地球に優しく」というものがありますが、何か「上から目線」じゃありませんか?自分が地球に対してやってあげているんだ、そんな自分は偉いんだって。
やってあげているという気持ちだと、なかなか環境と経営の統合は進みません。環境と経営を統合するというのは、実際には、簡単な道のりではありませんので、ちょっと景気が悪くなったり、忙しくなったりすると、パタッと忘れられてしまいます。
地球環境問題どころか、自分達の社会の安定すらままならない通り、本当は、人間が解決できていない問題は幾らでもあり、コントロールできている世界なんて微々たるものですけれど、文明が発達し、色々な問題を克服し、多少のコントロールができるようになった現在は、我われが地球に生かしてもらっているという畏敬の念、資源、エネルギーに感謝し、それを敬うという気持ちが足りないような気がします。そうした忘れかけている大切な気持ちを表現して、省資源、省エネルギーではなく、
次のページ「敬資源」、「敬エネルギー」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
環境調達.com
2010.04.15
2010.04.08
2010.04.01
2010.03.25
2010.03.18
2010.03.11
2010.03.04
2010.02.25
2010.02.18
株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます