自動車の改造というと、不法改造のイメージがあるかもしれませんが、今回は、ガソリン自動車を電気自動車に合法的に改造するという環境負荷低減に非常に役立つ真面目なお話です :) この取組みによる改造後の電気自動車は、実際の車検にも通り、車検証が出ています。
新潟県長岡市にある有限会社 本田商会は、非常に注目される取組みを行っています。
それは、中古のガソリン自動車のエンジン部分を取り外し、手づくりで電気自動車(EV:Electric Vehicle)に改造していこうという取組みです。
本田商会では、自分達のみでガソリン自動車の電気自動車への改造を行うだけでなく、手づくり自動車の普及を図るために、部品メーカと協力して、ガソリン自動車のEVへの改造キットの開発と販売も行っています。また、このEV改造キット販売にあたっては、全国に出張組み立て指導の相談にも応じているようです。
過去の指導教室の内容を見ると、ガソリンエンジンの解体から電気自動車のパーツ組み立てまで、2日半ほどの研修で一通り体験できるようです。
本田商会の取組みの素敵な所は、新たに電気自動車を売るのではなく、既にあるガソリン自動車の躯体は活かしつつ、環境負荷の低減に最低限必要なエンジン部分だけを電気モーターに変えていこうという発想です。
社団法人 日本自動車工業会の発表によると、2007年末の世界の自動車保有台数は約9億4,900万台、2007年の世界各国の年間自動車生産台数は約7,300万台です。この数字からは、すべての新車が電気自動車に置き換わっても、保有自動車すべてが電気自動車に置き換わるには10年以上掛かる事が伺えますし、また、税制優遇策や規制で一気に置き換えようとすれば、廃棄自動車が山積みとなるといった問題を抱えます。
ガソリン自動車のエンジン部分のみの改造であれば、廃棄物の量を最小限に抑制しつつ、ガソリン自動車から電気自動車への転換スピードを一気に早める事が可能です。
個人的な感覚で申し訳ないのですが、最近は燃費対策のせいか、車のデザインに個性がなくなり、非常につまらないものばかりになっています。弊社のメンバーの好みは、1960年代のアメ車であったり、ピックアップトラックだったりします。何れも排気量の大きさではなく、スタイルの美しさによるものです。
環境への負荷を考えると、これらの車に乗るのはためらわれますが、これらの車体の美しさを活かして、電気自動車に改造する事が手軽にできるようになれば、自分の好みの車が見つけられるようになり、今言われているような国内の自動車販売の長期的下落傾向に少しは歯止めが掛かるのではないでしょうか?
2008年のリーマンショック以降、温暖化対策と称して、エコカー減税やエコポイントで、燃費の良い自動車や省エネ家電への買い替えが促進されてきましたが、その過程では、モノを大切に使う精神はないがしろにされています。景気対策として、エコカー減税やエコポイントは効果を発揮しましたが、モノを大切に使う心を養わずに、本当にこれらの施策が環境負荷の低減に役立ったか、将来の環境負荷低減の取組みにつながるかといった点からは疑問が残ります。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます