自明の理とも思われる環境経営、環境負荷の削減ですが、産業界には根強い抵抗があります。その要因の一つには、温暖化ガスの削減もそうなのですが、省資源、省エネルギーの「省」や「削減」の文字が人々の反発を生んでいることにあるのではでしょうか。 今回は、規制やお金を掛けることではなく、もっと簡単にできる方法で、こうした反発や負のイメージを払拭する方法を一緒に模索してみましょう。
政府は3/11日、地球温暖化対策基本法案の内容をまとめました。その中で、排出量取引制度では、企業に総排出量の上限を課す総量規制方式には企業活動への制約が大きいと憂慮する経済界への配慮から、それを基本としつつも、総排出量への制限をかけずに単位生産量あたりの排出量を制限する原単位方式との両論併記となりました。(出所:日本経済新聞 2010年3月12日 1面)
温暖化ガスの排出量規制は、日本だけでなく、中国や米国など、競争国の動向がどうなるかを睨みながら行わなければならず、また、中国が、近い将来、自国の成長を抑制することになる総量規制に乗り出す可能性は非常に低いでしょう。
でも、ここで、「温暖化ガスの抑制は地球のためにとって良いことである」と正義をかざしても、中国、発展途上国、他の多くの国々のみならず、日本国内をまとめることすら難しいでしょう。
何せ人の数だけ正義はあるのですから、温暖化ガスを抑制しない正当な理由なんて幾らでも挙げることができます。
弊社も、温暖化ガスの排出量規制は問題の根本解決につながらない可能性や、価値の認め方、分配の方法に疑問があり、まったく支持していないのですが、こうした難しいテーマに対して、正面切ってアプローチしても、煮詰まって逆効果になってしまうこともありますので、今回は、角度を変えて、言葉遊びによる解決を考えてみます。
弊社では、温暖化ガスの排出量の抑制よりも、開発・設計・調達・製造・販売・物流やマネジメントなど、事業のあらゆる機能で、省資源、省エネルギーを追求することで(Lean)、ムダが省かれ、コスト低減につながり、かつ環境負荷の低減(Green)にもつながる「LeanでGreenな事業づくり」を目指すことが、根源的な環境対応であり、環境と経営を能動的に統合するコンセプトとなりうると考え提唱しているのですが、あまり拡がりを見せていないと感じています。
一つの要因として、温暖化ガスの削減でもそうなのですが、省資源、省エネルギーの「省」や「削減」の文字や、引き算の発想が人々の反発を生んでいるのではないかと考えています。
コスト削減や経費削減に対してネガティブなイメージを持っている方が多いのと同じ背景があるのではという読みです。よく言われる「コスト削減を図ると社内のモチベーションが下がる」といったものです。実際には、その手の批判は誤りで、コスト削減の方法が誤っているか、経営陣・従業員の採用や教育、処遇などに問題があり、社内が事業を成功させるという共通の目標に向かって一丸となれていないかの何れかなのですが、なぜかコスト削減=間違い、良くて必要悪といった捉われ方が多く見られます。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます