ダイエーグループが「2010年度までにレジ袋辞退率30%達成」を目指した取り組みを展開している。2008年度で約26%だという。前倒しで2009年度に達成なるか?
以上から考えると、総じて個々人には比較的小さなメリットに対して、意外と仕組みが複雑で、取り組み全体としての効果がわかりにくいといえるのではないだろうか。
しかし、それはダイエーグループの問題ではない。この「レジ袋削減」という運動の全体の問題点がここにある。
レジ袋削減は、名古屋市は緑区で2007年10月からレジ袋有料化促進モデル事業を実施しており、2010年度までに名古屋市内全域でレジ袋有料化を実施することを目指しているという。しかし、その環境への効果・効用はまだまだ認知が低く、「マイバッグが増えて環境負荷はむしろ高まっている」というも論一部にある。
たとえば、こんな説明がある。<年間使用枚数は、300億枚(1人1日約1枚)とも言われる。しかし、レジ袋の原料は原油であり、国内の使用枚数は原油換算で約56万リットル(大型タンカー2艘分)に相当する。また、レジ袋は最終的にはほとんどがゴミとして廃棄されており、容器包装全体の量では、容積で家庭ゴミの6割を超える>(環境gooより http://eco.goo.ne.jp/word/life/S00251_kaisetsu.html )
一方で、工学者の武田邦彦氏のように「レジ袋は石油の余り物からできているので削減は意味がない」とする論者も少なくない。
議論百出は結構だと思う。しかし、「レジ袋辞退」の効用が明示されず、「環境負荷軽減」の手段自体が目的化した状態で、さらに異論も放置されたままであれば普及にブレーキは自ずとかかるだろう。
30%は達成されるかもしれない。しかし、普及の後半は、周囲の大半の人が採用する様子を見てようやく自らも動く懐疑的な人である、「後期多数採用者」または「レイトマジョリティー」という層が残っている。
ダイエーのCSRとしての努力には敬意を表したい。しかし、名古屋市のような「全市有料化」というような取り組みに動くのであれば、一企業の努力や個人の善意に支えられるのではなく、もっと根本的な説明・普及を行政が行うべきではないかと考える。
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。