前回は、FSCという森林認証の紹介を行いました。今回は、「次の世代に残していける材料」に拘った結果、FSC認証木材にたどりつき、FSC認証木材の普及に取り組んでいるジャパンモールディングをご紹介します。
また、木材は他の素材に比べて材料とするのに必要な消費エネルギー量が、非常に低いという利点があります。建築材料で例にとれば、天然乾燥製材であれば、1tの木材を生産するのに、必要なエネルギー量を炭素換算して30kgを放出しますが、コンクリートが50kgで1.6倍、鋼材が700kgで23倍、アルミニウムが8,700kgで290倍と、木材が圧倒的に環境への負荷が少ない事が分かります。(出所:すまいづくりの情報サイトe-house http://www.e-house.co.jp/woodland/info/column03.ht...)
そして、木材には木独特の優しさ、温もり、肌触りがあります。木材の良い所は、表面が多少傷んでも、表面を削ったり磨いたりする事できれいにする事が容易です。また、住宅や家具に使われていたものを取り出し、新たに材料としてリユースする事もできます。住宅などで長年使われ、風合いのある木材は「古材」と呼ばれ、その個性的な外観から、最近では内装などの材料として一つの分野を築くまでになっています。木材を長く使う事は、切ってしまった木の二酸化炭素の放出を抑える唯一の手段でもあり、古材のように、また、古材ほどの年季が入ったものでなくても、使われた木材の風合いを生かした利用が広がる事が望まれます。
まだ環境負荷の低減があまり価値として認められていない現在、FSC認証だけでは商売にならない事は中野社長も理解しており、もう一つ先の取組み「森まで見える材料を届ける」という取組みを行っています。同社は認証だけに頼るのではなく、日本の総輸入元として現地の森の状況が確認できるニュージーランドのシルバービーチの森との直接取引を中心に事業を行っています。この森の森林管理ならびに製材は、当然FSC認証を持つ会社によって行われていますが、中野社長は何度も現地に足を運んでおり、自分の取り扱う木材がどこから来ているかを把握した上で、商売をされています。FSC認証は、その森の姿を伝えるための一つの手段として使っているという位置づけで、認証に安易に頼るのではなく、自分が取り扱うモノに責任を持つという考え方は、同じモノを届ける仕事に携わるものとして、非常に参考になります。
このように、森や木を愛して止まない中野社長の事業に対する姿勢は、建材商社として事業を大きく伸ばすというより、消費者に「もっと木を楽しんでもらいたい」「本物の木に触れなければ森の大切さも実感できない」というものの方が強いようです。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます