あなたはFSC認証をご存知ですか?FSCは森林認証制度と呼ばれる環境認証の一つです。今回は、FSC認証を例に、環境認証をめぐる問題について考えます。
そのため、店頭にFSC認証のついた製品を置くには、木材を提供する森林だけでなく、加工、組み立てなど製品の製造に関わるすべての会社がFSCを取得していないと、最終製品にFSC認証を付けられない仕組みになっています。
これは、認証を普及する上では大きなハードルとなりますが、サプライチェーンでの管理を行うには不可欠な事です。FSCは、実際にこうしてサプライチェーンでの環境負荷低減を担保する仕組みを作っています。
(2) 実効性
認証には、審査内容、審査基準、継続性、偽装への対策など、その実効性の問題が常につきまといます。どんなに厳しい認証でも、認証取得後、ほったらかしでは、その会社が今でも認証の審査基準に適った行動を取っているかが分かりません。
また、書類審査のみというのは明らかに問題がありますが、現地現物の確認を行ったとしても、どうしても一過性、サンプルでの審査となりますので、悪意をもって偽装が行われた場合、それを摘発するのは難しく、偽装が行われた場合に、資格剥奪以上の何らかのペナルティを課すようにしなければならないでしょう。
FSCでは、毎年、出荷元と出荷先のFSC認証材の取引量が整合しているかや、現物管理のサンプル検査などを含めた維持審査が行われ、継続的な取引が認証基準に合致している事を確認しています。ここで、重大な違反や違反の改善が見られなければ、認証の使用権が剥奪されます。
FSCは、先に述べたサプライチェーン全体で環境負荷低減がなされている事を管理する仕組みや、継続的に取引を監査する取組みが評価され、WWFからはあまたある森林認証の中で唯一の推奨認証となっています。また、古紙偽装の後、官庁の紙でFSC認証品を採用する動きが広がっています。
(3) 新しい価値提案
FSCが取り組んでいる課題は、省資源や省エネルギーと異なり、森林保全や先住民の権利など、消費者に直接経済的メリットが生じる課題ではありません。
温暖化ガス削減を中心に環境負荷削減に関心が高まるにつれ、最近では、森林保全や先住民の権利の他にも、生物多様性など、消費者に直接経済的メリットが生じない課題にも目が向けられるようになってきていますが、まだまだ、広く価値として認められ、それに対する対価が支払われるようになっている訳ではありません。
認証もビジネスの側面があります。通常、各種認証の取得・維持にはコストが掛かります。取得する側から見れば、コストが発生するので、それに見合ったメリットがなければ、取得に動きません。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます