2009.11.25
■ユニクロ早朝セールに2000人の大行列。正直、理解できん!
小野寺 洋
株式会社JIMOS 通販広告研究所 所長/ビジネスディレクター
11月21日、ユニクロに早朝から大行列が・・・。正直、並ぶ価値があったのかって思うのですが・・・。みなさん、どう思われました??
近年、イオンやダイエー、イトーヨーカドーなど、PB(プライベートブランド)商品を充実させているが、価格競争がこのまま進めば、「いかに安く大量生産できるか」だけの勝負になり、例えば、衣料品業界では、「ユニクロvs.PB」が競争の最終形になってしまうかもしれない。極論を言えば、PBを充実させればさせるほど、メーカーは薄利多売を余儀なくさせられ、利益が減るということは、結果として研究開発に使えるお金も減り、技術の進歩を鈍化させることにつながる。
このようなことを突き詰めていくと、実は企業にとって真の利益を生み出さない「価格競争」は一種の麻薬であり、小売業もメーカーも幸せにならないことを十分に認識しておく必要があると思うのだ。
■でも、広告としては大成功だよね・・・。
一方、「ユニクロ」の視点からすれば、今回の企画は大成功だ。広告を打たずとも、大手の新聞社やポータルサイトがこぞってこのネタを取り上げてくれるわけで、コストを多く発生させずにできる最高のPRを成功させたと言っても過言ではない。ところで、PRと言えば、この「行列をつくらせる」という手法も、典型的なPR方法の一つ。
人は、多くの人が行列する光景を見ると、なぜ人が並んでいるのか、その理由を知りたくなる。こんなに多くの人が並んでいるからには、これだけの人を並ばせるだけの相当な魅力を持つ何かがあるはずだ、並ばなくては自分だけ損すると思い、集団心理がさらに行列を加速させる。並ぶ対象が「限定品」であればなおさらだ。
逆に、生キャラメルで一躍話題を集めた「花畑牧場」の失敗はココに起因すると言っても過言ではない。多店舗展開によって、「並ばずに」しかも「北海道以外でも手に入る」ようになった生キャラメルには、もはや「貴重性」という付加価値はなく、今後のビジネスは非常に厳しいものとなるだろう(一時的には100億円以上も稼げたのでOKという結論もあるけどね・・・)。
新宿で行列をつくる「クリスピー・クリーム・ドーナツ」や、「グーテ・デ・ロワ」(ガトーフェスタ・ハラダのラスク)の「一気に売らずに並ばせて売る」方法は、その貴重性をできるだけ長く続かせようという、PRそのもの。お客様の「買う理由」を、価格の安さ以外でつくろうという企業努力の賜なのだ。
■さて、あなたの会社はどうですか?
価格を下げるのは簡単だ。いつでもできるし、誰でもできる。でも一度下がった価格を元に戻すのには、何十倍ものチカラを要する。あなたの会社は、安易に「値引き」をしていないだろうか?
モノが豊富にあって、モノの「差」がわかりづらくなった時代、お客様は「買う理由」を探している。そんな時代の小売業やメーカーのマーケッターに求められるのは、「価格勝負」に持ち込ませないアイディアと、お客様の満足につながる他社との「差」を見せる工夫なのだと思う。
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小野寺 洋
株式会社JIMOS 通販広告研究所 所長/ビジネスディレクター
「効く広告」の研究とプロデュース、講演活動等を生業としています。 【略歴】 大学卒業後、出版社に入社。お客様と商品の“接点”開発に目覚める。 2005年より、株式会社JIMOSにて自社通販ノウハウを元にしたダイレクトマーケティング支援事業を行う。大手代理店にはない独自のアイディアや成功法則を武器に、広告をプロデュース。教育、食品、美容など、数多くの分野で成功を収める。 1973年佐賀県生まれ。佐賀大学理工学部卒。