【 影響力の武器 】

2007.08.08

ライフ・ソーシャル

【 影響力の武器 】

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

もう一度読み返したい本: 【 影響力の武器 】 (著)ロバート・B・チャルディーニ

社会的証明 (social proof)
自分にとって何が適切な行動であるかを決定する際に、人は他者の行動を手掛かりにする傾向があり、
それを利用するもの。特にその他者が自分と似ていると思う場合や状況が不確かで自分に確信がもてない
とき、この傾向が強くなります。たとえば、お笑い番組の「笑い声」の挿入もこの心理を利用して笑いを起こさせようとするものであるし、「自然なインタビュー」を装って撮って一連のやらせCMを作るというのも、この力を利用しようというもの。 

好意 (liking)
人は自分が好意を感じている知人に対してイエスという傾向があることを利用するもの。
この「好意」に影響を与える要因として、「身体的魅力」と「類似性」とがある。
「身体的魅力」はハロー効果を生じさせ、「見た目の良さ」が、才能や親切さや知性など他の特性への評価も高める傾向があるというもの。「類似性」は、自分と似た人に好意を感じ、そのような人の要求に対してはイエスという傾向が強いというもので、例えば、セールスマンなどは、自分とクライアントの経歴や趣味が似ていることを強調したりすることも、この心理を利用しようとするもの。

権威 (authority)
権威あるものからの要求に対しては、服従しなければという潜在的な心理的圧力を利用しようとするもの。
これは、必ずしもその権威の実体がなくとも、権威があるように見せかけるもの、例えばシンボル(肩書き、服装、装飾物)に反応してしまう傾向がある。人はある分野の権威に見える人の言うことなどを盲目的に受け入れてしまう傾向があり、有名な先生の言うことだから、間違いはないだろうとか、プロの間でも愛用されている商品だから絶対にいいと思うのも、この心理が適用されている。

希少性 (scarcity)
人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす傾向があり、この心理を利用するもの。
その原理を利益のために使う技術として、「数量の限定」「最終期限」などがよく使われる戦術。今だけ限定商品などは、まさにこの心理を利用した販促活動。その希少性の原理が最も働く条件は、新たに希少なものになった時で、既に制限があるものより、新たに制限にあったときに、また、他人と競って求めているとき、もっとも価値が高く感じられる。 

紹介されている事例や行動心理学の実験内容がとても面白く、食い入るように読んでしまいました。 
最近巷でよく出版されている、営業・マーケティング、交渉術のノウハウ本で紹介されている心理学的手法の
多くは、本書がベースになっているのではないかと思います。

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