任天堂の岩田聡社長と宮本茂専務は4月9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。ビデオゲーム市場動向や海外でのニンテンドー DSiの販売状況、『Wii Sports Resort』の発売日や京都文化博物館で実施されるニンテンドーDSを利用したガイドサービスについても言及。会見の内容を詳細にお伝えする。[堀内彰宏,Business Media 誠]
我々の作っているものが他社の作っているものとほとんど変わらないもので、「どっちが安いか」で勝負をしているのであれば、値下げをすることによって需要を大きく喚起することができるでしょうが、「ビデオゲームというのはそういうプロダクトではない」と私は信じています。
もちろん、未来永劫禁じ手にする気はありませんが、今そのこと(値下げ)が有効な方法だとは思っていません。それよりも、(DSやWiiが)ウィッシュリストの3番や5番では後回しになるので、「どうやったらウィッシュリストの1番にしてもらえるか」を追求したいと思います。
――日本でのWiiの売り上げは落ちているようですが、DSiで実現したようなブーム再燃は可能でしょうか?
岩田 今、日本でWiiの元気がないことは事実です。Wiiを発売して以来、今が一番日本では不健全な状態になってしまいました。800万台近く売れているゲーム機のマーケットとして、そして発売から2年強という段階でこういう状況であることは、決して我々の望むところではありません。
Wiiに関しては「比較的少数のパワフルなソフト群が長い間売れ続けて、それによって本体の勢いが維持される」というモデルで世界中を(売れて)回ってきたのですが、2008年年末のソフト群は我々の期待通りのロングセラーになりませんでした。そして、そもそも海外と日本のマーケットでは、情報の伝わるスピードとものが飽きられるスピードが違います。「そのことが日本と海外の勢いの差を生んでいる」と私は理解しています。
先ほど宮本がお話した6月の『Wii Sports Resort』(発売)以降、またいろいろ新しい提案とともにソフトが出ていくので、「その時にWiiの勢いを再び盛り返していく」ということが私たちが今考えていることです。DSでできたのですから、Wiiでもできると信じて頑張ります。
――PS3やXboxをライバルだと思っていらっしゃいますか? また、「米国と欧州の市場は大きなポテンシャルを持っている」とおっしゃいましたが、アジアの市場はどうでしょうか?
岩田 ほかのゲーム機(PS3やXboxなど)も「ゲーム機」と呼ばれ、任天堂のゲーム機も「ゲーム機」と呼ばれ、売り上げは毎週比較されるわけですから、その意味ではライバルです。しかし、「彼らとの競争に勝ったら、任天堂はゲーム人口を増やせるのか」というとそうではありません。我々は「任天堂が新しい提案をすることでゲームを遊ぶ人が増え、その人たちが継続的にビデオゲームを楽しんでくれるようになる」ということを目標にしているので、(PS3やXboxを)ライバルと外の人は言いますが、我々はあまりそう思っていません。むしろ、「無関心なお客さんがどうしたらこっちを向いてくれるのかな」ということの方がずっと我々にとって重大な関心事ではあります。
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