【弊著・予告編】哲学者の三木清は、「成功は量的な相対評価に過ぎず、一方、幸福はオリジナルな個性である」と喝破した。過度な競争と捨てられない成功崇拝が、“職のサスティナビリティ”を脅かす。
【Book Fore-view #04】=======
8月刊行予定の拙著『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義』ですが、
すでに校正を終え、装丁デザインも決まり、大詰めを迎えております。
8月第1週から、順次、書店に並び出す予定です。
で、その新著から、「働くこと」の再“考”築を促す材料を紹介するシリーズの4回め、
きょうは、仕事の“成功”と“幸福”について触れたいと思います。
私は今著作で、全4章を立て、
その最終章を「仕事の幸福」とタイトル付けし、
約60ページを使って、ああだこうだと、さまざまに筆を走らせました。
なぜ、「仕事の幸福」などということに、
これほどのボリュームを割いて書かねばならなかったのか――――
それは、現在、多くのビジネスパーソンたちが、
「職のサスティナビリティ」に脅かされている現状をひしひし感じるからです。
「サスティナビリティ」(sustainability)とは、ご存知のとおり“持続可能性”との意です。
よく環境問題で、
地球の“サスティナビリティ”が危機にさらされている、という、
あのサスティナビリティです。
つまり、多くのビジネスパーソンは、いまや、
仕事上、過剰かつ間断のないストレスにさらされていて、
早晩、カラダも神経も持たなくなり、
その職の持続が困難になる状態にあるということです。
私は仕事柄、よくキャリアの相談を受けますが、
本当に誰しも「疲れている」というのが第一印象です。。。
聞き及ぶ範囲では、自殺者やうつ病の事例も後を絶ちません。
たとえ病気にならずとも、おおかたの働き手の中で、
イライラ、キリキリが常態化している。
日曜の夕方、テレビから『サザエさん』のエンディング曲が流れてくると、
多くのサラリーマンたちの間で、胃が痛くなってくるのも深刻な社会病です。
私自身、4年前にサラリーマンを辞めて独立しましたが、その理由は、
ポジティブには、夢/志を確信して持ったからですが、
ネガティブには、
「このままじゃ、早晩、自分がつぶれる」
「この先まだ長い人生、持続可能的に働いていくためには、自分で商売を始めるのが最良の選択肢」
と感じたからです。
私は、大手有名企業の管理職という社会的信用と、
高くて安定的な給料を犠牲にはしましたが、
その代わりに、
今は、精神的・肉体的に伸び伸びと仕事をしており、その意味では、
「職のサスティナビリティ」はおおいに高まったといえそうです。
(定年退職も気にしなくていいのです)
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新著サマリー
2007.08.07
2007.07.27
2007.07.21
2007.07.14
2007.07.11
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。