【弊著・予告最終編】欲望は、人を惑わせもするし、成長させもする。欲の持つこの陰と陽の2面をいかに自己コントロールするかが、よりよく働く上で重要な分岐点となる。
【Book Fore-view #05】=======
このサイトで計5回にわたってアップしてきた弊著・予告編も最終回です。
おかげさまで『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義』は、
無事、書店ルートに乗っかり、都心の大手書店様では平積みいただいております。amazon.jpにも入庫いたしました。いよいよみなさまの評価を待つこととなりました。
で、その新著から、「働くこと」の再“考”築を促す材料を紹介するシリーズの最後は、
「心のマスターとなれ」です。
このストレスフルなビジネス社会にあって、
「仕事の幸福」を考えるために、私が指摘したことは2点あります。
1)成功と幸福は別ものであることを認識する
2)みずからの欲望をコントロールする“心のマスター”となること
前者については、すでに前回触れました。今回は後者です。
少し御託を並べねばならないテーマです。
さて、働く上においては当然のこと、生きる上においても、
さらにいえば社会全体においても
個々の人間が、みずからの欲望をどう自分で司っていくかは、肝心・要の仕業です。
欲望は人間にとってやっかいなシロモノで、
欲は人を惑わしもすれば、成長させもする。
つまり、善悪の2面性があるわけです。
欲に振り回されれば、それは煩悩であり、
欲をうまく生かしていけば、それは菩提となる。
人間は、意志と叡智によって、煩悩を菩提に転換することができる。
(大乗)仏教はそれを「煩悩即菩提」と説きました。
しかし、
現代の科学技術と経済システムは、人間の諸機能を飛躍的に拡張させることとなり、
それは同時に、人間の欲望も爆発的に増長させることとなりました。
その増長する欲望のペースに、人間の自制心が追いついていかない――――
これが、現代文明の抱える根源的な問題のひとつです。
「欲しろ→満たせ、欲しろ→満たせ」・・・・この際限ないチキンレースから
個人も、企業も、社会も抜け出せないまま、
暴走機関車は走り続けている、そんな様相です。
作家の司馬遼太郎さんは、生前、
「この現代社会にメッセージを残すとすれば、何ですか?」との質問に、
――――『知足』(ちそく=“足る”を知る)
という一言を発していらっしゃいました。
大著『歴史の研究』で著名な歴史家のアーノルド・トインビー博士も、
文明的視座の考察から、人間が自制心という叡智を断行しないかぎり、
文明は存続できない旨を分析しています。
そんな時代だからこそ、個人も企業も、
みずからが、みずからの「心のマスター」(=主人・司者)にならなくてはいけない、
これが私の主張です。
次のページ欲望のもつ2面性を「メビウスの帯」
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新著サマリー
2007.08.07
2007.07.27
2007.07.21
2007.07.14
2007.07.11
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。