再考築<3>:組織人か・仕事人か

2007.07.21

組織・人材

再考築<3>:組織人か・仕事人か

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

【弊著・予告編】「個」として強いプロフェッショナルの時代である。あなたの就労意識は“ビジネス・コスモポリタン”として、外に開いているだろうか?

【Book Fore-view #03】=======

8月刊行予定の弊著から
「働くこと」の再“考”築を促す材料を紹介しています。
きょうはその3回め、「組織人・仕事人」について触れたいと思います。

「組織人vs仕事人」という対比を使って、私が伝えたいエッセンスは、
「個」として強いプロフェッショナルの時代が来ている
だから、多くのサラリーパーソンよ
組織に依存して閉鎖的に安住するな、ということです。

組織人と仕事人という考え方に関しては、
『仕事人の時代』の著者である同志社大学の太田肇教授が簡潔に示してくれています。

すなわち、組織人の価値観・目的は
「組織に対して一体化し、組織から与えられる報酬(誘因)を目的とする」

仕事人の価値観・目的は、
「組織よりも仕事に対して一体化し、仕事をとおして自分の目的を追求する」と。

で、私が、私なりに
組織人と仕事人の対比を整理した図は例えば下のようなものです。

さて、私たちは、仕事人の典型をプロスポーツ選手にみます。
野球にせよ、サッカーにせよ、
なぜ、国内リーグのトップ選手たちが、世話になったチームを出て、海外に渡っていくのか。

それは、彼らの働く忠誠心・情熱が、
組織にあるのではなく、仕事にあるからでしょう。
彼らは「組織に生きる」のではなく、「仕事に生きる」からと言い換えてもいい。

彼らにとっての仕事上の目的は、野球なり、サッカーなりを極めること、
その世界のトップレベルで勝負事に挑むことであって、
組織はそのための手段やプロセスとなる。

登山家が「なぜ、山に登るのか?」と問われて、
「そこに山があるからだ」という答えは、至極当然の情熱の発露です。
「山小屋の世話が大変なんで、山に登るのを控えました」なんていう
腰の抜けたプロアスリートはいません。

一方、実力アップして、他球団に移りたいと申し出た選手に対して、
球団側も潔く真摯にビジネスライクに対応する意識が求められるでしょう。

なぜなら、こうした「個」の仕事人を束ねる形でのビジネスにおいて、
組織は、もはや「タレントオープン×インフラ型」としての機能存在であるからです。

映画製作しかり、保険商品の外交セールスしかり、
有能なタレントの集合離散で事業成果を出していく世界では、
人財の流入も「是」、人財の流出もまた「是」として
組織はいかに魅力的な企画(プロジェクト)とインフラを提示できるかに専念しなくてはなりません。

とはいえ、そこを巣立った仕事人たちも、おそらく、長い目でみれば
いつか何かの形で組織に恩返しをしてくれると思います。
それが、新しい時代の仕事人と組織の関係性だと思います。

次のページ組織人的な意識が、依存心と結びついた場合

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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