『ロフトワークドットコム』はクリエイティブのインフラサイトである。抱えるクリエイター数は1万人あまり、そのクリエイターをクライアントと結ぶのがロフトワークのプロジェクトマネジャーだ。単なるマッチングではなく、プロジェクトマネジメントを付加価値とするロフトワークのシステム、その背景にある考え方を紹介する。
第3回
「クリエイティブとプロジェクトマネジメント」
■カンマが2個ついた請求書
「忘れもしません、カンマが2つついた請求書を書いたんです。請求額が100万円を超えたということですが、とてもうれしかった」
年賀状、暑中見舞いと立て続けに大好評だったため、次の年は年賀状のアイテムをもっと増やそうという話になった。その結果、請求額が初めて100万円を超えたのだ。
「人間って変わるものだとつくづく思いました。前職では億単位のお金をパソコンのチェックボタン一つで動かしていました。でも、そのときのお金は全然リアルなものではなかった。それに比べれば自分で書いたカンマ2個の請求書はうれしかったですね。いってらっしゃい、ちゃんとお金になって返ってくるんだよ、という思いで送り出しましたから(笑)」
状況が好転し始める。やがてサイト経由でウェブ制作の依頼などがぽつぽつと入りだすようになった。
「そこで新しい問題が見えてきました。我々はいわばプロジェクトマネジメントだけをやり、実際の作業はすべてクリエイターさんにお願いするわけです。すると、訂正が入ると、またクリエイターさんにお願いしなければならない」
例えば印刷物制作なら、印刷会社がロフトワークと同じ役割を担う。が、訂正の処理の仕方に印刷会社とロフトワークの大きな違いがある。ロフトワークは訂正が発生するたびに、追加費用をクリエイターにきちんきちんと支払うのだ。かといって追加費用をクライアントに請求することはまずない。
「修正が発生した場合、クリエイターが内部にいないのですぐに対応できないし、クリエイターさんには改めて費用をお支払いしなければいけない。クリエイターさんに負担をさせることは会社のカルチャーとしてできない。これでは収益率が悪くなって生きます。」
ここが数多の印刷会社や代理店との違いである。もちろん良心的な印刷屋さんなら、いくばくかの訂正コストを認めてくれることはあるかもしれない。が、そのマインドセットはロフトワークのそれとはまったく異なる。訂正が発生すればロフトワークの場合、利益率にダイレクトに影響するのだ。
■プロジェクトマネジメントを究める
「プロジェクトマネジメントの巧緻がストレートに収益に跳ね返るわけです。これは何とかしなければと、IBMのプロセス開発資料などをネットで探してきては読みました」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
FMO第22弾【株式会社ロフトワーク】
2009.04.14
2009.04.07
2009.03.31
2009.03.24