『ロフトワークドットコム』はクリエイティブのインフラサイトである。抱えるクリエイター数は1万人あまり、そのクリエイターをクライアントと結ぶのがロフトワークのプロジェクトマネジャーだ。単なるマッチングではなく、プロジェクトマネジメントを付加価値とするロフトワークのシステム、その背景にある考え方を紹介する。
第2回
「クライアントとクリエイターをつなぐために」
■ロフトワークは通訳になる
「ずいぶん悩みました。最初に考えたモデルのどこがダメだったのか。結局たどり着いた答えが、クリエイターとクライアントは言語が違うということです。だから彼らが直接話をしても通じない。私たちが通訳になろう、そう考えたんです」
思いきった方向転換である。同時にロフトワークは、普通なら考えられない決断をも下している。当初立ち上げたシステムはそのまま残し、無料で開放したのだ。このシステムを利用してクライアントがクリエイターに直接発注する場合、手数料は一切かからない。
「たった1,000円の手数料で文句を言われたことが、相当なトラウマになったみたい(笑)。もともとクリエイターのポータルサイトを作りたかったのだから、全部オープンにしました。どんどん発注してください、ということで。それが今に至っています」
いまロフトワークドットコムをのぞいてみると、確かに数多くの企業がクリエイターを募集している。これはと思う仕事が見つかれば、クリエイターが自由に応募できるシステムもそのままだ。
「ただし、直接発注に関して我々は一切コントロールしていません。このルートからもたくさんの仕事がクリエイターさんのところに流れているはずです」
それでいいのだろうか。自分たちが精魂込め、相当な投資までして作り上げたシステムをただで使わせる。確かにわずかな手数料でクレームを受けていては気が滅入るだろう。それなら、いっそのこと閉鎖してしまう手もあったのではないか。
「結局、クリエイターさんがハッピーになれば、私たちはハッピーなんです。ロフトワークに登録していたから仕事が来た、ということになれば私たちに対する彼らのロイヤリティも高まりますよ。もともとインフラになりたいと考えていたのですから、オープンでかまわないのです」
素晴らしい考え方だが、それで果たしてシステムを運営し続けることができるのだろうか。ロフトワークは決してボランティアではない。資産を持て余している大富豪が余興で始めたシステムではないのだ。
「だから通訳はきちんとします。言葉が違うクリエイターとクライアントの仕事を仕上げるために最高の通訳をしする代わり、通訳料はきっちりいただきましょうと考えたわけです」
■年賀状が切り開いた新しい展開
「元々お金を儲けたいというところから会社が始まってないからかもしれませんね」
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FMO第22弾【株式会社ロフトワーク】
2009.04.14
2009.04.07
2009.03.31
2009.03.24