『ロフトワークドットコム』はクリエイティブのインフラサイトである。抱えるクリエイター数は1万人あまり、そのクリエイターをクライアントと結ぶのがロフトワークのプロジェクトマネジャーだ。単なるマッチングではなく、プロジェクトマネジメントを付加価値とするロフトワークのシステム、その背景にある考え方を紹介する。
第1回 「ビジネスマッチングの難しさ」
■クリエイティブのeBayを目指して
「クリエイティブのインフラを作りたかったんです。クリエイターとクライアントをマッチングさせるインフラです」
ロフトワークドットコムは、クリエイターのポータルサイトである。デザイナー、イラストレーターなど登録クリエイター数は総数1万人を超え、日本最大規模をもつ。仕事を頼みたい人や誰でも、クリエイターのポートフォリオを見て気に入った人に自由に仕事を発注できる。
「目指したのはクリエイティブのeBayです。eBayはオークションの場をネットに設定しました。その結果、売りたい人と買いたい人がオンラインで結ばれるので、膨大な数の売り買いが次々と成立しています。これがインターネットならではのダイナミクスだと思うのです。こういうことをやりたいと思ったのがキッカケです」
eBayといえば世界初の、そして今や世界最大となったオンライン・オークションである。ロフトワークはそのクリエイティブ版を目指したのだ。1999年年末、ニューヨークでビジネスプランを描き上げた林氏は単身日本に帰国、翌2000年末にサイトをオープンする。
「もしかしたら、タイミングが少し早すぎたのかもしれません。アーティストが作品を売るためのショップ機能まで作り込んだのですが、さっぱり鳴かず飛ばずでした」
時まさにネットバブル絶頂期である。さまざまなネットビジネスが、まるで雨後の筍のように次から次へと出てきていた。ロフトワークもその中の一つだったが、その志はバブリーなネットベンチャーとは明らかに一線を画していた。
「実力はあるのに発揮するチャンスがなくて埋もれているクリエイターの才能を活かしたい。買った人はハッピー、売った人ももちろんハッピー、さらにインフラを提供している我々もハッピー、そんな夢みたいな仕組みを提供できるのがネットです」
当時のネットビジネスで圧倒的に主流だったページビューを集めて広告フィーを稼ぐモデルはまったく考えなかったという。よりリアルに、結びついたビジネスの数だけ自分たちも成長していけるインフラを作る。そのためにサイトは考え抜かれ、オープン当初からかゆいところまで手の届くきめ細かな機能が実装されていた。
■何かがおかしい
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FMO第22弾【株式会社ロフトワーク】
2009.04.14
2009.04.07
2009.03.31
2009.03.24