状況を分析して、舞台を選んで、実演する。その繰り返しが大切である。
マーケティングの意思決定のプロセスとしてSTPが一般的である。Sはsegmentation、Tはtargeting、Pはpositioningの頭文字をとったものである。Sは顧客を分類すること、Tはその分類した特定の顧客層を対象とすること、Pは対象顧客の心の中に独自の位置づけを得る製品やサービスを設計することやイメージを作ることである。
マーケティングにおいては、対象者を選択して、その対象者に合った製品やサービスを提供しなければならない。
これに対してMDP※というマーケティングも含めた総合的な経営活動における行動サイクルがある。
Mはmarket analysis、Dは decision making、Pはperformance の頭文字をとったものである。経営活動においては、市場を分析して、決断して、成果を得るために行動することが必要になる。
これは一個人の思考から行動、チームにおける思考から行動、そして部門や会社組織全体の思考から行動へと発展していくプロセスである。
意思決定者は、組織の内外から伝えられる情報を分析して、決断して、それをチームに伝え、目標の実現に向けて行動を起す。チームは、一個人の提案を基に状況を分析して、事業戦略や活動方針を決め、それを組織内に伝える。そして、組織は大局的な経営戦略や活動方針を基に具体的な行動計画を決め、行動する。
最終的に実現する組織全体の行動が、新たな段階の足がかりとなる。次の行動に向けて、個人の市場分析のために新たな情報を提供することになる。MDPが延々と繰り返されることによって企業活動が深化する。
P、つまり、行動すること、役割を演じること、周囲からの評価を受ける状況を作ることが最も重要である。
そのためには何をするのかという決断(D)が不可欠だし、決断のためには情報の収集や分析(M)が必要である。思考から行動への流れはM、D、Pの順番になるだろう。
実演とは、形ある製品を製造して販売することでもあるし、形のないサービスを提供することでもある。その形態は様々である。
周囲からの評価、刺激、フィードバックを適切に受け入れるのであれば、実演することで、市場を分析をすることができる。
製品の売れ行きが良ければ、製品が市場から評価されていることになる。製品の売れ行きが悪ければ、製品が市場において評価されていないことになる。その場合、製品自体が悪い場合と、製品の価格設定、販売方法、プロモーションの仕方など、製品の提供方法が悪い場合がある。
実演することで市場の情報が入手できるとともに、実演の結果を得ることができる。そこでは、実行力、勇気、自信などが求められる。また、表現力やコミュニケーション力が問われる。その源流となるのは、どのように実演するかという決断や戦略である。判断力や構想力が欠かせない。また、情報の収集・分析段階においては、やはり、コミュニケーション力、あるいは、関係構築力が必要である。また、問題意識や探究心なども欠かせない。
※MDPサイクルは、WBCが考案した行動コンセプトです。
【V.スピリット No.103より】