クリエイティブとロジックの相補性

2009.03.02

仕事術

クリエイティブとロジックの相補性

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

クリエイティブというと、岡本太郎さんのような芸術家を思い浮かべて、ロジカルという印象とは程遠い人も多いでしょう。ロジカルと言うと、学者やコンサルタントを思い浮かべる人もいますね。こういった考え方すると、この2つの能力を相反して捉えるのは自然にも思えますが、私はそうではないと思います。

 解がビジョンのシェアにあるというのは、なんとなくコンサルタントが思ったことです。粗い答えです。これを仮説と言いますね。

 仮説を作るときには、創造性が必要です。決して論理ではない。

 インスピレーションが下りてくる。

 その仮説が有り得るのか?は論理的に検証しないといけませんよ。ありえそうだったら、その仮説を裏返して論点を展開してみる。

 その論点を調べてみる。

 その論点を調べてみて、ファクトが集まってきます。この会社では、昔はこういうビジョンで、こんなマネジメントのシステムで、従業員はその頃、こういう感じだったということがわかってくる。

 そして、今は、こういうビジョンで、こういうマネジメントシステムで、従業員は今、こういう状況である、ということもわかってくる。

 そうして、本当にビジョンを新しくシェアすることが解になるのか?を考える。

 そして、情報量が増えているので、他のクリティカルなソリューションがありえないのか?を考えてみる。

 そうすると、また別のソリューションが思い浮かぶかもしれません。

 そうしたら、またそのソリューションから逆算して、答えを出していくことができるかもしれません。

 コンサルティングのプロジェクトにおいて、論理性、ロジカルシンキングは大事なのですが、仮説を考える能力、インスピレーションが降ってくる力は非常に重要です。

 じゃないと、何を論点展開していいのか?がわからなくなります。

 論理が先にあるというよりは、解が先に降ってきて、そこから逆算して論理展開するんです。

 その作業の繰り返しの結果を見ると、いかにも客観的に論点を展開して、いろんな可能性を検討して答えが出てきているように見えます。

 でも、結果だけ見ればそうですが、プロセスではクリエイティビティがものを言います。

 従業員にインタビューしたとして、口ではこう言っているけど、実際ってこうじゃないの?とか、そういう仮説、インスパイアは大事です。

 でも、このソリューションは私のインスピレーションです!と言われてもクライアントは困りますよね。

 だから、情報を集めて検証して、検証して、納得感があるぐらい正しそうという状況にして、細かいロジックもしっかり補強して、ソリューションを提示する。

 そうすると、いかにも客観的、論理的に結果として見えるものが出来上がる。

 コンサルタントはロジックも当然大事です。当初、下っ端の人はひたすら検証作業やリサーチをやらされます。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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