今週は、「給与明細を他人にぶっちゃける」ニュースが世間を賑わした。他人の給与明細って、確かに気になる。素直に見たいとも思う。でも、それが現象として現れるとなると、ちょいと気になる。この現象の先には、何があるのか考えてみる。
「格差社会」を生み出す起点は、阿久根市のニュースでわかるように・・・実は、「官民格差」にある。これは、日本全体の問題の本質に近い。日本の国家予算は約80兆円と言われているが、そのほとんどが国家公務員と郭外団体の給与になるらしいのだ。私たちの税金のほとんどは、公務員+官僚の給料にしかならない構造がある。
国民の税金で厚遇を受けている官僚や政治家が、財界と繋がることによって施策を決めて、実行する。その結果、生まれたのが「格差社会」である。「官」と「民」の意識の格差が、そのまんま給与の格差にもなっているのだ。
「給与明細を他人にぶっちゃける」ニュースその②
「下流過ぎて涙出てくる」 ネットに晒された20、30代「給与明細」
「給料日だし給与明細晒そうぜ!」
――2009年2月24日、そんなスレッドが「2ちゃんねる」に立った。他人の給与がいくらなのか知りたい、というのはいつの時代でも同じだが、世界的不況の不安もあってなのか、結構話題になっているようで、「リアルに低すぎて、げんなりした」といった感想が書き込まれているというもの。
インターネットというメディアが生まれたからには、匿名で給与明細を公開する行為もいずれは現れて話題になるかと思っていたが、この時期に・・・。
実は、給与明細をネットで公開するのが流行っている国が、既にあるのをご存じだろうか。その国では、この「給与明細を他人にぶっちゃける」行為を、「晒工資」と読んで、流行語にもなっている。文字通り、工資=給料を晒す。
そう、中国である。
日経オンラインのニュースによると、
1978年に始まった「開放・改革」政策から92年の「社会主義市場経済」への動きを通じて、中国では所得の格差が徐々に大きくなっていった。しかし、従来の所得格差はそれほど大きなものではなく、給与明細を見なくとも、職業や職位、労働年数を考慮すれば、給与水準を推測することができた。
ところが、その後の中国経済の急速な発展は「社会主義市場経済」という枠を完全に通り越して、こてこての「資本主義経済」に傾斜して弱肉強食の色 合いを強めていった。時代の趨勢に適応することができた日なたの勝ち組と適応できなかった日陰の負け組との色分けをますます鮮明なものとした。この結果、 両者の格差は急激に拡大し、“都市部と農村部”や“沿海部と内陸部”の所得格差にとどまらず、業種間、さらには同業種間の給与格差にも及ぶこととなった・・・とある。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。