今週は、「給与明細を他人にぶっちゃける」ニュースが世間を賑わした。他人の給与明細って、確かに気になる。素直に見たいとも思う。でも、それが現象として現れるとなると、ちょいと気になる。この現象の先には、何があるのか考えてみる。
「給与明細を他人にぶっちゃける」ニュースその①
鹿児島のブログ市長、今度は職員給料268人分をHP公開
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(49)が、市のホームページ(HP)に2007年度当時の市長、教育長ら幹部を含む職員計268人の年収、給料、14項目の手当の明細を1円単位で公開したというもの。
この名物市長のやり口を、諸手を挙げて賛成できないが・・・公開された数字を見てみると。その強引な手法も、いたしかたなしと思わせる部分がある。これが、財政が苦しいと言われている地方の公務員の給料明細である。
ためになるので、一度、ご覧頂きたい。
鹿児島県阿久根市、ちっさな市だ。あの市町村合併でも、周辺市町村から毛嫌いされた程の、財政状況にある。阿久根市の市民総数は、24,356人 。そこに市職員は、総勢268人働いていて、その半数以上が年収700万円を超える高給取りであるというわけだ。若い公務員の給料は安いと聞くので、これは地方公務員全体の高齢化のなせる技とも言えそうだ。
小さな市だから、大きな法人もない。市のホームページによると、年間の税収は、約20億円。それに対して、総勢268人の市職員の人件費は、17億3千万円。税収の、実に、9割近くが職員の人件費って・・・ありえない。「職責や能力と給料の関係もデタラメとしか言いようがない」と市長が言うのも、一理ある。
下記は、その職員の中の1人の明細の例である。
給料 \\3,840,900
扶養手当 \\390,000
住居手当 \\264,000
通勤手当 \\78,000
時間外 \\785,535
休日 \\104,711
児童手当 \\240,000
期末手当 \\1,150,530
勤勉手当 \\558,007
総額 7,411,683
400万円に満たない給料に、300万円以上の手厚い手当てが付いている。通勤手当や児童手当は理解できるとして、期末手当や勤勉手当って何。どうやら民間で言うところのボーナスらしい。勤勉手当なんて項目にして目をくらませているらしいのだが・・・財務状況が赤字の行政に、ボーナスってないだろうってのが市民感情だろう。親方日の丸が、血税をムダにしやがってぇぇぇぇぇ・・・。
こうやって、給与明細のぶっちゃけは、公務員バッシングの好材料になる。ひとつのガス抜きだし、選挙を闘うためには、すごくわかりやすい論点でもある。しかし、阿久根市の地方公務員の給与明細公開ニュースを、そんなガス抜きや選挙対策に終わらせていいのか。
次のページそう、中国である。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
世相と事件を読んでみる
2009.04.07
2009.04.03
2009.03.27
2009.03.17
2009.02.28
2009.02.22
2009.02.20
2009.02.18
2009.02.18
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。