企業の3大経営資源といわれるヒト・モノ・カネの中で、ヒトだけは現実の会計処理では費用(コスト)として扱われます。 もし、ヒトが費用ではなく資産(資源)だったら・・・
約5年ぶりのリバイバルですが、日本のリーディングカンパニーの中にワークシェアを積極的な導入する動きは現在のところ少ないようです。(実際には、ワークシェア導入を検討中の企業があるのかもしれませんが・・・)
私は、消費低迷に対応するために派遣切りやリストラをする企業がワークシェアに消極的なのは当たり前のことだと思います。
「派遣切り=コスト削減」と考える経営者が、ワークシェアによる付加価値の創出ができるとは思えません。
「私の仕事は私以外にはできないので、ワークシェアは無理」
日本でワークシェアが広がるためには、ワークシェアによって何らかの付加価値を生む企業文化や環境が形成されることが必要だと思います。
ワークシェアが仕事の質を落とし、コストアップになるだけなら、誰もやりたがらないのは当たり前です。助成金目当てのワークシェア導入は論外です。
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最後に、資産を処分する場面を考えてみましょう。資産を処分するパターンは2つ考えられます。
◎資産価値のあるものを売却する
◎流行遅れや老朽化して資産価値のないものを廃棄する
プロスポーツ界では、自分のチームの有力選手がライバルチームに移るときに多額の移籍金が企業に支払われます。誰もが認める優秀な社員なら売却して金銭を得ることができるでしょうが、一般の企業では社員を他社に譲渡して金銭を得ることはありません。
企業業績が悪化する状況では、不動産などの資産を売却せざるをえないことがあります。不動産なら売却によって資金を調達して、損失の穴埋めや資金繰りに活用できます。ところが、社員は、売却して当座の資金に充てることができる資産ではありません。
社員を削減することは、売却よりも廃棄に近い扱いでしょう。売却と廃棄の違いは、売却は金銭的収入が期待できるのに対して、廃棄は運送費や処分料などの金銭的支出が伴う点です。定年やリストラによって社員を削減する場合、退職金や解雇一時金といった金銭的支出が伴います。
解雇された社員が、会社を相手に裁判を起すニュースが珍しくありません。
社員はできるだけ高く売って儲けるといった類の資産ではありませんので、社員を削減しても何の得もありません。お金にならないどころか、廃棄(解雇)された社員は、先月まで生活費を稼がせてくれた会社を敵とみなして戦いを挑むこともあります。
ある自動車メーカーでは、部長級社員らで構成する「部長会」がみんなで自社の新車を自主的に購入しようと呼び掛けているようです。また、電機メーカーの中にはグループの管理職社員に7月までに自社製品を10万円以上購入するよう通達を出したところもあります。派遣切りやリストラは、それとは逆に自社の製品を確実に買わない人を生み出しているともいえます。
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