このご時世に儲かっている会社がある。経済はドシャ降りだけど、業績は常に堅調でピーカン。 羨ましいかぎりの会社、それは、世界で最大の気象情報会社『株式会社ウェザーニュース』である。そんな企業から、未来への雲行きを学びたい。
気象市場は6000億円市場とも1兆円市場とも言われているらしく、その情報活用の現場は、多岐にわたる。第23期第2四半期の報告書によると、事業展開は大きく2つ。
ひとつは、「企業・法人向け事業」。
海事気象(航海気象、石油気象、海上気象)と交通気象(道路気象、鉄道気象、航空気象)を、それぞれに、海運会社や石油発掘会社や交通会社へと提供するサービスで・・・全体売上げの約55%を締める。
例えば・・・
実現すれば大幅な時間短縮ができる北極海航路での安全な船の航行を支援するため、世界の海氷の動きを把握・予測する「グローバルアイスセンター」を設置す。気象情報の提供で、北極海周辺の安全な資源輸送の一躍を買ったりしている。気象が大切なインフラであることがわかる事業展開である。
もうひとつは、「個人・分衆向け事業」。
従来の気象予測・気象サービスの枠を越えた、個人サポーターが参加する新しい気象コンテンツサービス事業。加速的に発展する通信インフラを活用して、個人・大衆に、情報を提供していくもので、全体売上げの約45%を締める。
例えば・・・
2008年7月30日、携帯電話サイト「ウェザーニュース」にて、突発的な雷雨(ゲリラ雷雨)の可能性がある際、その情報が携帯電話のメールで届く「ゲリラ雷雨メール」(サービス利用料:315円)のサービスをスタートした。
防災の日となる2008年9月1日からは、日本の“揺れ”をユーザーと共に観測する試み「Yure プロジェクト(ユレプロジェクト)」を開始。この観測は、1,000名のユーザーの自宅に、“揺れ”を計測する専門機器「Yure Station(ユレステーション)」を設置して実施するというユニークなもの。観測データは、インターネットにリアルタイムで公開されるため、地震などの揺れが発生した際に、自分の住む地域が“どのような揺れ”で、“どのくらいの強さ”だったかを瞬時に把握することができる。
2009年1月20日には、携帯サイト「ウェザーニュース」とインターネットサイト「花粉 Ch.」にて、花粉飛散量を3時間ごとの予報で確認することができる花粉情報を開始したりしている。
気象という第5の公共インフラを活用して、「極大」と「極小」の両方のビジネスをバランス良く展開している『株式会社ウェザーニュース』。
それは、気象庁という「官」の建前に抗うことから始まっているのが面白い。「民」が、インフラになり、世界の国々の発展を支えながら・・・「個」の暮らしへも着々と根付いている。
「民」が「民」に働きかけて大きくなり、「公」のものとして機能していく。
これからの、街づくりなどの良いお手本になる気がする。
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メディアや広告業界への苦言・提言
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。