電通発表の2007年版「日本の広告費」によると、2008年は、総広告費が7兆1354億円で、前年比101.7%と予測されていた。果たして、そんなにうまくいったのか?改めて昨年の発表資料を見ていると気がかりなことが見えてきた。
内閣府が発表した12月の消費動向調査によると、消費者態度指数(一般世帯・原数値)は前月差(前月指数からの変化幅)は2.2ポイント悪化の26.2となり、3カ月連続で悪化した。20ポイント台である。ここ数ヶ月の消費意欲の回復はないと見た方が良い。そうなれば企業の広告費の改善は、あまり期待できないだろう。
広告業界は、こういう時に、どう考えるか。動くのか。
その発表資料には、その兆候が書かれている。
下記は、資料よりの抜粋である。
『年前半は、前年のトリノ冬季オリンピックやサッカーワールドカップによる高い伸びの影響が現われ低迷したが、年後半は、参院選や世界陸上、東京モーターショーなどがプラス材料となって持ち直した』
『業種別(マスコミ四媒体)では、「官公庁・団体」(参院選、環境関連の広告出稿が増加)、「エネルギー・素材・機械」(ガス、遊技機関連が活発)、「精 密機器・事務用品」(デジタルカメラなどが好調)など21業種中11業種が前年を上回った。一方、「金融・保険」(保険、消費者金融などの広告が減少)、 「自動車・関連品」「家電・AV機器」などが減少した』
※2007年版「日本の広告費」より
2007年度の広告は、大型で公共的なスポーツイベントや選挙などがプラス材料となり。媒体出稿は、「官公庁・団体」「エネルギー・素材・機械」「精 密機器・事務用品」等が伸びたということなのだが・・・
2008年を振り返ると北京オリンピックや洞爺湖サミットは好材料だったろうが、それも一時的なものだったことが10月頃の発表資料で明らかになっていた。また、石油高騰や世界的不況のあおりを受けて前年好調だった「エネルギー・素材・機械」「精 密機器・事務用品」も、きっとダメだろう。
では、何が広告業界にとって残されているのか。「官公庁・団体」である。
「選挙」である。
これってマクロ的に見たら、広告業界も建設業界と同じ・・・。
公共事業に群がるゼネコン各社を古い体質の企業群と笑うことは出来ない。
「民間」がダメなら、「公」や「官」に頼る。
大きなお金の流れの話しなので、そういう結果になることは仕方なしかとは思うが・・・。広告業界も、また、昔のままのモデルであったことは反省した方がよい。
この状況は、
広告代理店がマーケティングと言いながら、モノを売るお手伝いはしてきたが・・・「市場を新たに創造する」という根本的な機能を果たしてこなかったツケである。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。