ビジョナリーハンドブック(5):時間のパラドックス

2009.01.13

経営・マネジメント

ビジョナリーハンドブック(5):時間のパラドックス

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

時間のパラドックスは、端的には次の一文で表せます。 “短期的に成功を収めるためには、  長期的な視点で考える必要がある” - To succeed in the short term,    you need to think long term.

そして、その逆もまた真なりです。

“現代において長期的に成功するためには、
 今過ぎ去っていく毎分毎分を細かくマネージする必要がある”

- To succeed in the long term today,
  you need to micromanage every passing minute.

第2回のビジョナリーのパラドックスでご説明したように、
現在と未来は、しばしばお互いに相容れません。

例えば、未来のための新商品開発は、
現在の既存商品の顧客を奪うことにつながりやすく、
事業の収益基盤を不安定にする可能性が高いですよね。

一方、現在の事業にのみに経営資源を投下し続けると、
未来の収益源を育てることに出遅れてしまい、
将来において淘汰されてしまう可能性が高くなります。

したがって、事業を未来にわたって継続するためには、
短期的な視点と長期的な視点を併せ持つこと、すなわち

「2元性」(Durality)

が必要なのです。

ただ、1人の人間が、

「現在」と「未来」

という2つの時制の中で、
同時並行的に生きるのは簡単ではありません。

ビジョナリーハンドブックでは触れられていませんが、
脳科学や心理学の研究によれば、人は本来的には

「短期志向」

なのだそうです。

動物はおしなべて短期志向です。

なぜなら、今、飢えないためには、
目先の獲物をつかまえることが最優先だからです。

人間もまた、太古の狩猟時代に経験した飢えに対する
恐怖から、「短期志向」がDNAに刻み込まれています。

ダイエットが続かないのは、
「体重減」という長期的な目標よりも、
目の前のケーキ1個を食べたいという短期的な欲求に、
私たちが屈しやすいからですね。

したがって、ビジネスにおいても、
長期的な視点で考え、また行動することは、
相当意識的に行う必要があります。

『The Visionary's Handbook:Nine Paradoxes That Will Shape
The Future of Your Business』
(Watts Wacker,Jim Taylor,Howard B. Means著,Harperbusiness)

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*ペーパーバックもあります。
*現在は、出品者からしか手に入らないようです。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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