ビジョナリーハンドブックでは、 「価値のパラドックス」 を説明するために、 「ホットドッグ」 が例として取り上げられています。
販売者にとってのホットドッグの「価値」、端的に言えば
「価格」
は、ホットドッグ用のパンや、
中に入れるソーセージ、レタス等の仕入価格の合計ですよね。
販売者は、
これに自社の費用(店舗賃貸料、人件費など)や
利益分を上乗せした
「販売価格」
を設定して消費者に売るわけですが、
ホットドッグに限らず、同じ製品なのに場所や時間に
よって価格が高い場合があります。
例えば、空港、ホテル、百貨店、観光地などです。
なぜ高い価格設定が可能になるかというと、
・時間がない時にすばやくおなかを満たしたい
・豪華な雰囲気も味わいたい
など、購入者側のニーズが、
製品にもともと備わっている基本的な価値以外にも
あるからですね。
本書の中では議論されていませんが、
マーケティング理論として私も以前紹介したことのある
「価値の構造」
を考えてみれば当然のことではあります。
価値の構造は、一般に以下の4つです。
・基本価値
当該製品が有する基本的な品質や機能
・便益価値(ベネフィット)
当該製品の使用や消費によって得られる便益
・感覚価値(情緒価値)
当該製品を使用・消費するに当たっての感覚的な楽しさ、
形態的な魅力
・観念価値
企業の経営方針や製品コンセプト(環境保護など)が
生み出す価値
大事なことは、販売者ではなく、
「顧客」
こそが、製品の最終的な価値=購入価格を決めるのであり、
それには基本価値以外の要素が考慮されるということです。
ただ、本書で述べられている最も重要な指摘は、
製品の基本価値や購入時の状況(場所、時間など)
だけでなく、
「情報の(量、質)」
によって価値=価格が変化することです。
これは、インターネットが浸透し、
一消費者が手軽に情報収集が行えるようになった現在、
より顕著な傾向になっていると言えるでしょう。
わかりやすい例を挙げましょう。
つい先日、私は近くの家電量販店で、
外付けハードディスクを購入しました。
いつもならネットで調べてから行くところですが、
お正月特価だから安いはずだと勝手に思い込み、
よく調べずに購入しました。
ところが、家に戻り、
インターネットで調べてみると、
もっと安く買えるところがいくらでもありました。
つまり、ネットを活用して情報を集めれば、
同じ製品を安く手に入れることが可能だったわけです。
このことは、売り手、すなわち企業側の立場で言えば、
自社が考える価値にふさわしい価格で売ることが
容易ではないということを意味しますよね。
次のページ消費者の購入サイクル(Buying Cycles of...
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
ビジョナリーハンドブック
2009.01.13
2009.01.09
2009.01.08
2009.01.08
2009.01.07
2009.01.05
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。