2009.01.01
カオスの時代―選択から創造へ
安澤 直樹
「100年に一度」といわれるカオス(混沌)の時代に、ベスト・プラクティスをリアルタイムで示すことは困難です。視野狭窄のプラクティスを回避する方法はあるのでしょうか。
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今年の流行語大賞ベストテンに蟹工船(小林多喜二の1929年発表のプロレタリア文学)が選ばれました。
リーマンショック以前には、企業価値=株主価値と説く証券アナリストの声が大きかったように思います。その影響なのか、「社員よりも株主の方が大事なのか?」と疑いたくなる企業も見受けられます。
非正規社員の突然の解雇のような契約途中での雇用契約解除といった企業の姿勢は、従来の日本の企業風土の中で違和感をあります。日本発祥のロジックとは思えません。ドメスティックなロジックは、従来の日本には似合いません。
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ビジネスパーソンには、どんな状況であっても、その状況に則した行動や意思決定が求められます。
直面する状況を、因果関係の明確さの度合いによって「単純」「込み入った」「複雑」「カオス」「無秩序」の5種類に分類し、それぞれの状況に適した行動を示したのがクネビン・フレームワークです。
合成の誤謬は、そもそもの選択肢が限定された上に、いずれの選択肢も正しいとはいえない八方ふさがりの状況です。
適切な解がない状況は、クネビン・フレームワークの「複雑」、もしくは「カオス」の状況です。
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また、正誤の判断にこだわると、取捨選択で切り捨てたアイデアが生かされず、独創的なアイデアが生まれる機会を逃すことになります。結局、不本意な妥協を強いられる。これが、現在のビジネス・ソリューションの主流のように思えます。
トロント大学のロジャーL・マーティンが、2つのアイデアを同時に検討して創造的に解消することで、第3のアイデアを導く思考プロセスとしてインテグレーティブ・シンキング(統合思考)を紹介したレポートをハーバード・ビジネス・レビューに寄稿しています。
一般的なロジカル・シンキングは、顕著で特徴的な要素だけにフォーカスして問題を単純化し、分解して、一つひとつ検討していきます。プロセスがわかりやすくスピードも速い。ありきたりの結論に至ったとしても、経済の安定期なら、大きな問題になることはないでしょう。
たとえば、購買意欲旺盛な団塊世代をターゲットに、市場調査を行い分析した結果が、同業他社と似たようなものになったとしても何ら不思議はありません。それで、同業他社と似たような商品を売り出したとしても、好景気の時代なら、さほど問題はないかもしれません。
秩序が支配する理路整然としたロジカルシンキングは、経済が安定している時代に有効な思考法だと思います。
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