携帯電話各社の2009年度第1四半期決算(4~6月期)が揃いました。各社の携帯電話販売台数が軒並み前年同期比で20%前後減少しています。
D社が21%減、K社が19%減、S社が23%(日本経済新聞より)
しかし、これは各社が割賦販売方式を導入したことに起因することは明らかです。携帯電話のユーザー数が減ったわけではありません。1台の端末を長期間所有するようになったから、販売台数だけを見れば減る。当然の現象です。台数の大幅減少から、携帯電話業界の低迷を判断するのは早計でしょう。
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各社がビジネスモデルの転換を急がなければいけないことは明らかです。
(1)2台目需要の開拓
携帯電話の世帯普及率が90.5%(内閣府調査。単身世帯を含まない)になり、今後は純粋な新規のユーザーを獲得するのは難しいでしょう。劣勢といわれている最大手D社の解約率は0.51%。これは他社と比べて低い水準です。解約率を抑えたままユーザー数を増やすには、2台目需要をどうやって掘り起こすかが課題となります。
(2)新たな収益源の創造
ARPU(ユーザー当たりの月間平均収入)の減少が続いています。各社値引き合戦ですから当たり前です。今後は、音声ARPUは収入源としてほとんど期待できない料金体系に進まざるを得ないと思われます。それでは、データARPUはどうかというと、定額制が進めば、こちらも一定額以上は期待できないことになります。
従来の電話会社にはなかった新しい収入源が求められます。現在は、代金決済、スポーツ、エンターテイメント、ネットと各社が方向性を模索している段階といえます。
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そんな中で、いち早くネット端末としてパソコンとのボーダレス化を進めているS社が何かと話題をさらっています。CM業界の記録を次々と塗り替えている白戸家の犬のお父さんがフランスの大学に留学していた衝撃の新事実は相変わらず笑わせてくれます。
携帯電話業界の新参者S社は、携帯シェアでは業界3位に甘んじていますが、ネット業界ではリーディングカンパニーです。私には、D社にもK社にも、モバイルでネット業界をリードしようという気概は感じられません。
iPhone販売は、S社の2台目需要と新たな収入源をにらんでの戦略展開と考えられます。今後数年間で携帯電話の収益構造が激変することが予想されます。「販売台数2割減」をセンセーショナルに取り上げているメディアもありますが、前年と比較して、販売台数の増減など細かい収入構成のアップダウンで一喜一憂する必要はないように思います。
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