今日は成長戦略についてご説明致します。現場で使うというよりは、経営者、経営陣以外には必要無い属性の概念ですが、市場というものの捉え方は非常に参考になる面がありますので、自分が経営者になったと思って読んで下さい。自動車は単に不況だから売れないのではない、ということもわかります。
成熟した業界はたいていは蘇りません。それは、規制などの外部要因とはほぼ関係がないのです。昔、携帯電話バブルの頃がありました。誰でも駅前で携帯電話を無料で渡せば、奨励金1万円がもらえました。
1日10人ぐらいは、駅前に机を置くだけで契約できました。私の知っている社長さんも、学生時代には駅前に机を置いて携帯を売っていた人がいます。
もっと昔、エアコンを人々が欲しがった時代がありました。エアコン売ってます、と書いてあれば放っておいても売れて行きました。もっと昔、松下幸之助さんは電球を売りました。
でも、今電球単体で利益が出るかと言ったら、ほとんど出ていないでしょう。みな、あの頃のバブルよもう一度、という願いでむなしく戦いますが、もうバブルは戻ってきません。
当然、違うところでバブルは起きています。それが成長市場です。でも、その業界にいる人々は、黙って儲け続けます。誰も参入してきませんようにと願いながら。
そう考えると、自動車が復活するか?と言えば、しないというのが正しい答えですね。日本国内で行けば、軽自動車は売れていますけど、普通の自動車は売れない。
数字を示さない感覚論で申し訳ないですが、自動車産業への依存度が米国より日本のほうが大きいので、意外と影響は深刻でしょうけどね。
自動車は裾野が広いですし、バリューチェーンに組み込まれていないにしても、例えば損害保険のように、自動車に依存して成立している業界もあるんですね。
早く、新しい産業に、キャッシュと雇用が移転して欲しいものですが、日本はややそのスピードが遅い感があると思います。
お話しを元に戻しますと、自分の業界で利益はどこに移動しているのか?業界全体での利益量はどういった推移をしているのか?ちょっと調べればすぐにわかります。
根性で売ってこい、価格は安くしていいから売ってこい、と言っているだけでは絶対に売れません。利益は出ないのです。
成長戦略のある企業は、悲しいですが、そういう事業からの撤退はけっこう早めに準備していたりします。そういうのを、エグジット、出口戦略と言ったりします。つまりどの時点で事業を売却するのか?その収益はどうなのか?ということを考えることですね。
エグジットの検討ができるというのは、今後利益が当該市場からいくら出てくるのかがだいたい分かっているということです。利益を出すのが絶対無理か?と言えば、そんなことはありません。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。