今日は、戦略策定アプローチの1つであるシナリオプランニングをご紹介します。内部、外部環境から自社の方向性を定め、打ち手を定めていくことは通常の戦略策定と同じですが、複数の外部環境オプションを定めて、自社の方向性の幅を定めていくところに特徴があります。
シナリオプランニングというのは何か?と言いますと、複数の未来を予測することで、未来の触れ幅を把握し、その上で、自社が取りうる打ち手の幅を把握する。
その上で自社が打つべき打ち手を決め、その打ち手がどういう環境下で有効なのか?ということを認識し、もしも環境の変化が起こった場合にもどういう打ち手を打てばよいのか?が素早く経営陣が理解できる、という経営のプランニング手法です。
普通の戦略策定と違う点は、外部環境の変化のシナリオを複数用意するところでしょうね。
たいていは、経営側の意思の元、外部環境はこうなるというのは、自社にとってある意味都合のよいものしか仮定しません。会社が小さく、市場のカバー率が低いうちはそれでもかまいません。
ただ、自社が取引先を拡大することによる成長の限界に陥り、かつ、市場が成熟してきた場合は、希望的な外部環境の予測ほど危険なものはありません。
例えば、コンビニ業界を上げてみましょう。5年ぐらい前でしょうか?コンビニエンスストア市場自体が飽和し始めました。一番あおりを受けたのは、ローソンさんですね。
当時、ダイエーの中内氏の拡大路線によって、全県進出!取り扱いアイテム数ナンバーワンなどの方針を掲げておりました。
ある時点で、新しいお店を出せば、ある程度の需要があることがわかっている。でも、もう新しいお店を出す場所がない、という状況になってくるんですね。
そりゃ、全ての県に進出してしまえば、新店舗による売上増は見込めなくなる、それは当たり前です。
そして、既存のお店の日商も頭打ちになってきてしまったんですね。
そうすると、外部の環境が今後どうなるか?はすごく大事になってきます。
たいていの企業はめでたく大企業の仲間入りをして、成熟すると、景気指標と業績の連動率が高くなります。
自分が属する業界の上位企業の有価証券報告書なりで確認してみてください。業界自体が成長している時には、景気との連動性は低いのですが、業界自体が成熟すると、いわゆる景況感と自社の業績がリンクしてきます。
成長期にある業界、成長中の企業には、景況感は一切関係ありませんので、ご心配なく。でも成長が終わるまで生き残れれば、必ず景況感との連動は出てきます。
逆に言えば、小さくてカバレッジも低い企業が、不景気の影響で・・・、と言うのは大嘘だということがわかりますね。
さて、景況感、いわゆる世間の景気との連動性がある程度高まってくると、じゃあ、どの外部環境がどう影響があるのか?という具体的なお話しになってきます。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
ストラテジー
2009.08.15
2009.06.16
2009.02.23
2009.01.25
2009.01.24
2009.01.13
2008.12.31
2008.12.20
2008.11.24
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。