マッチングビジネスの本質を探る

2009.01.25

経営・マネジメント

マッチングビジネスの本質を探る

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

以前に、マッチングビジネスを立ち上げるプロジェクトをやっていたことがあります。最近ではマッチングを自動的に成立させるスキームを組んで、そのスキーム使用料金で儲けるビジネスもありますね。今回は、マッチングビジネスについて考えます。

 もう、だいぶ昔、10年ぐらい前のことです。

 2000年ぐらいだったでしょうか?マッチングビジネスを研究し、実際に動かそうというプロジェクトに関わっていました。

 結果は失敗で、一部しか世に出ませんでした。うまく動きませんでした。でも、その時の知見というのは役立っている面があります。具体名は出せませし、内容も多少ぼかしますが、うまく皆様にお伝えできればと思います。

 どういうマッチングビジネスかと言いますと、まず、最終消費財メーカーを囲い込む。

 最終消費財メーカーというのは顧客とのコミュニケーションチャネルを独自で持っていることは当時はほとんどなかったのです。

 当時、Webサイトでコミュニケーションということはどの会社も考えていたのですが、具体的ノウハウは乏しかったと記憶しています。

 それと、最終消費者との接触チャネルを持っている会社を囲い込む。例えば、生命保険の会社は、保険のおばちゃんという最終顧客リストを持っていて、頻繁にコミュニケーションを取っています。

 もしくは、カーディーラー。彼らも、顧客リストを直接的に保有していて、定期的にコミュニケーションをとっていますね。

 その上で、真ん中に入る会社は、マーケティング研究機能を持ちつつ、消費者をモニター化して、囲い込む。最終消費財メーカー、顧客とのダイレクト接触チャネルを持つ企業、消費者モニター、真ん中にはマーケティング研究機能、そういうスキームでした。

 コンサルティング出身の方で、概念のレイヤでしか考えられていない人というのは、スキームを組んで、これを回せばいいでしょ、動くでしょ、と思いがちですが、それでは「絵に描いた餅」ですね。

 そのスキームを回すのは、実際には1つ1つの魂の篭った企画、プラン、アクションですね。

 そのアクションにすごくパワーがいるようなもので、そのアクション主体がわかりにくいものはたいていうまく行きません。

 この10年前のお仕事では、いくつかのパイロット的なプロジェクトを動かしたのですが、動かすプロセスで、離脱企業があり、想定したほどモニターが集まらないなどの事態が起こりました。

 スキーム自体は有り得るものでも、パイロット的なプロジェクトがうまくいかない。若かりし日の私は、どういうことなのかな、とすごく悩みましたね。

 結論から言いますと、大きな絵からしか施策を見ていないと失敗します。

 大きな絵は見せずに、1つの施策として、関係者が自分の視点からやりたくなる、というような施策じゃないとうまく行かない。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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