先週末から、某プロジェクトで沖縄に行ってきた。同行した農学博士から、沖縄で起こっている結果が裏目のプロジェクトXについてお話を聞いた。 それは、2000年の沖縄サミット時の自粛から、動物愛護団体の圧力を受けすっかり見ることができなくなった「ハブとマングース対決」だ。 そこには、いまの日本の縮図がある。変革時に、裏目裏目に結果が出てしまう構図がある。
沖縄を始めとする南西諸島は、大陸から隔離されて進化をしてきたという。
その進化の過程で、島においては、ハブなどのヘビ類が生態系の頂点になった。
主要な捕食者はヘビに限定されているのだから、
在来する固有の種は、ハブ対策だけをやっておけばよかった。
それなのに、ハブという頂点の上に、マングースという雑食獣が現れたっ。
これじゃ、対応できるわけないっ・・・。
そのハブとマングースは、生活時間帯が違うから、頂点を競う両頭が並び立つ。
24時間、在来種は、危険にさらされる羽目になったのだ。
さらに、マングースは、家畜や人間の暮らしにも、悪影響を及ぼしている。
そのため、マングース北上を防止し、生活圏にマングースを入れないために、マングース防止柵が、いまでは国道沿いに張り巡らされている。
防止柵の構造は、高さ120cmで、上部に30cmの鋼板のパネルを張り、下部に穴掘り防止のための30cmの柵と同じスカートを配置。これを、張り巡らすのに、いくらの税金がかかっているのだろう。※ちなみに、平成19年度「マングース対策事業費」は、9200万円強計上されている。
明治初頭の決定事項とは言え・・・・
この決断と結果は、あまりに間抜けではないだろうか。
マングースが毒蛇を殺すと世界的に信じられたのは、英国のR・キップリングの児童文学「ジャングル・ブック」(1894年)に、マングースがコブラと決闘する場面が登場してからだと言われている。
まさか、明治時代のハブ対策プロジェクトに参加した東大の偉い先生や行政の人達が、この説を鵜呑みにしたとは信じたくないが・・・結果的には、最悪だ。
みんながハブに困っていた。対策を欲しがっていた。
変革を望むその当時の人達にとって
毒蛇を殺すマングースの登場は、画期的なヒーローだったと想像する。
目の前で、マングースがハブをやっつけてしまう姿を見せられたら・・・
みんながその勇姿に痺れたと思う。期待をして当然だ。
致し方ないっ。
しかし、良い大人が集まっているのだ。
もう少し、配慮ができないものなのだろうか・・・。
強い者を強い者で駆逐する戦略が、生態系全体に及ぼす影響を。
せめてハブとマングースの生活時間の違いくらいは、議論の余地ありだろう。
学歴も高い、良い大人が集まって下す決断が、間抜けに見えることがよくある。
そこでの意志決定には、必ず・・・
「偉い人達は、もっと偉い人達に弱い」
「偉い人達は、専門的な偉い人達の話しを聞く」という構図が現れる。
それって結局、決定する人達の責任回避の結果じゃないか。
責任回避の頂点に向かって「裏目プロジェクトX」は、始まる。
そして、誰も止められなくなる。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。