2004年、世界一多くのビールを集める店としてギネスから認定されたデリリウムカフェ。その記念すべきアジア第一号店は、事業責任者・菅原氏の緻密な戦略と大胆なアクションから生まれた。
最終回
「ウェブ2.0が強力な追い風に」
■ベルギービールマニアをエヴァンジェリストに変える
「マニアから飲んだ事のない方まですべての人達の店へ」
デリリウムカフェがベルギービールマニアから注目を集めていることは間違いない話だ。
「何よりも50種類もの樽生ベルギービールを輸入している店は、うちしかない。さらに100種類ものボトルビールがあります。ベルギービールの樽生を常時10種類出せる店は、他にないですから。」
多品種少ロットの象徴がデリリウムカフェの樽生である。ベルギービールといえばボトルというイメージが強い。確かにボトル内熟成がベルギービールの特長の一つでもあるため、樽生は一般的にはなじみがない。
「とはいえ日本で知られていないだけで、おいしい樽生は向こうに行けばいくらでもあるわけです。六本木のカウンターで毎日お客様に接していたとき、樽生は必要だと思った。効率を少々度外視すれば、直輸入しているうちだからこその絶対的な強みになると思いました。みんながやらない事をやるから意味がある。」
ベルギービールの樽生、すなわち極めてニッチな商品は明らかに差別化要因になる。コアなベルギービールファンにとってこれら50種類もの樽生はこれまで、その存在を知識として知ってはいても、ベルギーまで出向かない限りは飲むことのできなかったレアアイテムだ。一体どんなものなのか、どんな味わいがするのか。マニアなら知りたいと思うのは人情というものだろう。
「樽生からボトルまで本当に小さな質の良いビールを作り続ける所と直接つきあっているおかげでしょうね、デリリウムカフェのことを書いてくれるブロガーがすごく増えてきました。もちろん僕が書いているブログの影響も多少あるのでしょうけれど」
▲デリリウムカフェトーキョーでは、毎週土曜日に週代わりの樽生を味わえる。写真は、ベレ・ノエル樽生を提供するデ・ランケ醸造所のタンク清掃の様子。
「昔は店主よりもオレの方がベルギービールについては詳しいぞって言いたいようなお客さんも多かったんですけどね。実際にベルギーに旅行して、いろんなビールを飲んだことのある方もたくさんいらっしゃいます。今は逆に味と情報を求めてやってきますね。」
ひとたびベルギーに出張すれば、朝11時ぐらいから夜中過ぎまでビール漬けの毎日を送るのだ。それも相手はベルギービール作りの職人、醸造家ばかり。オーソリティたちとビール談義に花を咲かせながら、特製ビールや秘蔵のビールまでを味わっている菅原氏に勝てるわけがない。
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FMO第16弾【デリリウムカフェ】
2008.11.11
2008.11.06
2008.10.29
2008.10.21