「持たざる経営」がもてはやされた時代がありましたよね。1990年代後半のことです。極論をすると、自前で持つのはコアコンピタンスの部分だけで、その他の部分はアウトソーシングしたほうが低コストになる、外部環境の変化に適応できる!ということでした。
じゃあ、どういう形で経験を積んでプロデューサーになるんでしょう?プロデューサーのアシスタントというのが一番思いつく形でしょうか。
でもね、プロデューサーのアシスタントをするだけで、プロデューサーになれますか?というポイントがあります。
ビジネスを回すには、いろんなビジネス機能をマネジメントしないといけませんよね。ビジネスプロセスがかっちり作られていたとして、その1つ1つがある程度わからないと、そのプロセスをマネジメントできない。
もしも、その機能を外部に出したときには、コアになる部分を抑えていないと、制御できませんよね。
外部業者の作業クオリティを最大限に引き出せますか?という論点がすごく大事になってしまいます。
で、プロデューサーのアシスタントをすることで、その能力が上がるのか?というのは相当疑問なんですよね。
あるプロセスのことがわからなくなってしまうと、クオリティをどう上げればいいのか?コストはどう下がるのか?リードタイムをどう短縮するのか?がわからなくなります。
そうすると、もはやコントロールできませんよね。
大手の会社が、一時期IT投資を騙されてなのか?やりまくっていましたが業者さんにいいようにやられていましたよね。CIOもベンダーにいいようにやられる人もいますよね・・・。
自分たちができないことを外注するとコスト増なのはわかりますよね?
プロデューサー機能しか持たない場合、業者にやられないためのクリティカルなポイントがないと、いいようにやられます。クリティカルなポイントがあっても、自分でできる面がないとコントロールがしんどくなる。
逆に言うと、業者側は、発注者が絶対できないことを提供すると、価格交渉で優位に立てるんですよね。普通に当たり前のことです。
つまり、プロデューサー機能しか持たない企業は、人材のスキルが上から下に流れていく流れを作らないといけないのですが、持たざる経営だとそれが難しい。
ちょっとした技術の進化なんて、しょっちゅう起こりますから、そういう現場のやり方の変化についていけないといけないんです。
全部外注しちゃってついていけますか?お金を払ったほうが人を雇うより低コストだから、どんどん外注業者さんにお金を払います?
価格交渉すればいいじゃないか!と思いますか?
その時の交渉のネタはなんなのでしょうね?業者さんの現場で起きていることがわからなくなっているのに、価格交渉可能なんでしょうか?
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。