リーダーシップの強化では日本企業は再生しない

画像: Hinata-sennin

2023.03.31

組織・人材

リーダーシップの強化では日本企業は再生しない

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

日本企業はリーダーシップ過多に陥っている。 動かない組織やチームの原因がリーダーシップにあると妄信している。確かにそれも一因ではある。 しかし真因はフォロワーシップ(メンバーの自立性、自発性)の欠如にあるのです。 その本質と向き合わず、リーダーシップを強化すれば、自ずと牽引型のリーダーシップとなり、 結果、指示待ち、リーダー依存、思考停止のメンバーが激増する。

「ボートメンバー同士がチームワークを高め、良いチームを創っていくことは、好き嫌い、守る守らないではなく、掟なのです。ボートに乗った瞬間から、掟に従わない者が居ればボートは簡単に沈没します。あなたのボート(チーム)は沈没しかかっていませんか?」

会社に入社した瞬間、配属された瞬間、良いチーム創りに参加するは私達の掟となる。


掟。。。同じ会社に入って、貴重な時間を過ごす仲間・・・

知らなかった。誰も教えてくれなかった。だとすれば、学校であれ、家族であれ同じなのかもしれない。そんな簡単で当たり前のことが分かっていなかった。なぜ、どのボートも沈没しそうにみえる理由が分かったように思う。

何となく腑に落ち感が生まれた。沈没しそうなボートに居るのは嫌だ。自分が原因でボートを沈没させるのも嫌だ。沈没させたくない。素直にそう思う。

どうしたら?


こんなに簡単に腑に落ちるか?と思われた方も居ると思います。

しかし、それが腑に落ちるのです。何故か? それは、誰の不利益にもならないし、若手の方がより長く沈没しそうなボートに居る。ちょっと考えれば誰もがうんざりです。誰かの為ではなく、自分の為だと気づくからです。

自由と多様性をはき違えてはいけない。自由も多様性も秩序の上に成り立つものです。


【エピソード3】

様々な講義が続いた。そして、頭で理解したこと、共感できたことを実践的に試す機会がやってきた。

ゲームの中で「行動」できるかが試されるらしい。

10人のメンバーでチームを作りリーダーを一人決めた。

いきなりアイマスクを渡され、リーダー以外は目隠しをする。

その状態で数分、放置された。

リーダーだけは講師から何らかの説明を受けているようだ。気配で何となく分かる。

「よーい、スタート!」

な、な、何がスタート?

リーダーの声が聞こえる。どうやら他のメンバーに指示を出しているようだ。

しかし、目隠し状態では何が何やら分からない。

まったく、声がかからない。放置状態が続く。何の指示もないのでほとんどのメンバーは動く気配もない。暇だな~。

「あと、2分」

え? 2分って、まだ何もしてないけど。

おい、リーダー、何やってんだよ。

「終了!」

まじかよ。目隠しを取る。眩しい。

目前の床にロープが丸まっている。何かの形にしようとしたような形跡はあるが、まったく形になっていない。

講師が話し出す。

「この課題はリーダー一人がどんなに頑張ってもできません。達成するためにはメンバー全員の自立的な協力が必要です。本日、学んだことが自分の意志で実践できれば、この課題は達成できます。では、チームで話し合ってください。」

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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