宅配注文サイトといえば「出前館」。全国で8,100店以上の飲食店が出店する「出前館」は今や、出前のポータルサイトとして揺るぎないポジションを確立している。6年前、どん底状態で同社を引き継ぎ、見事に上昇気流に乗せた中村社長の秘策を伺った。
メリットは二つある。信頼度と知名度が上がることだ。上場審査を通るためには、社内体制をきちんと整備しなければならない。ともすれば急成長するベンチャー企業の盲点となりがちな社内体制を、上場を機に整備できる。その結果、名実共に信頼できる会社となるわけだ。
「また、大阪にある小さいベンチャー企業で、しかも変わった名前の会社が上場するというのは、ちょっとしたニュースになりますよね。ニュースバリューがあれば、私たちの名前がいろいろなメディアで取り上げられる。その宣伝効果はものすごく高いじゃないですか」
さらに中村氏は、上場準備の一環として一気に社内体制の整備にも手をつけた。より一層の成長をめざすのであれば、社内の体制はできる限り早い時点でカチッと整備して置くに越したことはない。
「その頃の当社にいちばん欠けていたのが、中の体制をきちんと管理してくれる人材だったんです。私はとにかく前を向いて、売上を上げるために突っ走っていかなければなりません。だから私が先頭で走っている間に、後ろで社内を固めてくれる人が必要でした」
幸運にも人を得た中村氏は、その人物に完全に権限委譲する。これも相当に思いきった割り切りと言えるだろう。思い出すのもイヤになるほどの苦難の日々を乗り越えて、何とか成長軌道に乗るところまで持ってきたのは自分の力だ。ようやく上場という一大イベントがやっと見えてきた時点で、それまでの苦労を知らない外部の人間を招き入れ、財務から管理までを一任する。なかなか下せる決断ではない。
「いずれ、もっと会社が大きくなっていくには必要なことばかりなんです。しかも自分一人でできることじゃない。だからよかったんじゃないかなと思っています」
2006年6月、夢の街創造委員会株式会社は、大証ヘラクレス市場に上場する。そして上場を機に、新たな戦いが始まったのだ。
▼黒字転換してからの利益の伸び率に注目。出前館のようなビジネスモデルは、臨界値を超えることが質的転換につながる。
⇒次回「競合はネットじゃなくて電話」へ続く(全四回)
『夢の街創造委員会株式会社関連リンク』
・夢の街創造委員会株式会社
http://www.yumenomachi.co.jp/
・デリバリー総合サイト【出前館】
http://demae-can.com/
・テイクアウト・お持ち帰りなら【予約館】
http://yoyaku-can.com/top.php
・壊れた!助けて!困った!時には【駆けつけ館】
http://kaketsuke-can.com/
(インタビュー:竹林篤実/坂口健治 構成:竹林篤実)
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FMO第12弾【夢の街創造委員会株式会社】
2008.08.12
2008.08.05
2008.07.29
2008.07.22