宅配注文サイトといえば「出前館」。全国で8,100店以上の飲食店が出店する「出前館」は今や、出前のポータルサイトとして揺るぎないポジションを確立している。6年前、どん底状態で同社を引き継ぎ、見事に上昇気流に乗せた中村社長の秘策を伺った。
第2回
「インターネット、だけれどエリア限定」
■トリプルwinのビジネスモデル
「お客様にも、お店にもメリットがあって、だから私たちも正当な対価をいただける。『出前館』は、ITを活用したビジネスとして理想的なモデルなんですよ」
出前館ビジネスの本質は、受注代行モデルである。出前館はそのサイトを通じて出前を受け(=受注)、売上の5%を受注代行手数料としてお店から受けとる。それでお店には十分なメリットがあるという。
「なぜなら、いわゆる従来型の出前ビジネスは、受注のためのコストが平均して売上の8%かかっていたからです。つまり定期的にチラシを作っては配布し、電話で注文を受ける。このコストを調べていくとだいたい売上の8%だったんです」
これが出前館なら5%で済む。月々のサイト掲載費用も一店あたりわずかに3000円、間違いなく売上の1%以内で収まる。つまり従来型のチラシを使った集客よりも、確実にコストパフォーマンスの高い集客手段が出前館というわけだ。
「しかもチラシの効果は今、どんどん落ちています。なぜなら、マンションの場合なら、まずポストにチラシを入れること自体が難しくなっているでしょう。仮に何とかポスティングできたとしても、4分の1しか潜在顧客に届いていないというのが、業界の定説なんですよ」
チラシに頼る集客は明らかに行き詰まりを見せていたわけだ。そこをブレイクスルーできるのが出前館である。では、注文するお客さまにとって出前館を利用するメリットは何だろうか。
「何よりまず選択肢が増えますよね。あるお店のチラシを見るだけなら、当然、そのお店のメニューの中からしか注文するものを選ぶことはできません。ところが出前館にアクセスしてもらえば、配達エリア内にあるすべてのお店のメニューの中から食べたいものを選ぶことができる。しかも頼む前に待ち時間もわかるんです」
あらかじめ時間がわかれば、電話で注文して「いま、混み合っているのでお届けは70分後になります」なとど言われて、腹を立てることもなくなるわけだ。しかも、たとえわずかとはいえネット経由で頼めば電話代も不要である。
▲出前館出店以降の特徴として、リピーター率の高さがある。その理由は、一度出前館で注文すると次からがとても便利なシステムにある。
■お店の手間を可能な限り省く
出前館のビジネスモデルには、さらにユニークな特長が二つある。一つはグローバルネットワークのインターネットを使いながら、地域限定のサービスであること。もう一つは、IT活用といいながらお店サイドには一切のIT負荷をかけていないことだ。
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FMO第12弾【夢の街創造委員会株式会社】
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