宅配注文サイトといえば「出前館」。全国で8,100店以上の飲食店が出店する「出前館」は今や、出前のポータルサイトとして揺るぎないポジションを確立している。6年前、どん底状態で同社を引き継ぎ、見事に上昇気流に乗せた中村社長の秘策を伺った。
第3回
「企業として成長するための上場」
■上場って、どういうこと?
「上場って何? ベンチャーキャピタルってどんなことする人たちなの? 実はそんなふうに頭の中を?が飛び交う状態を何とかクリアしての上場でした」
中村氏が社長を引き継ぐ前からすでに、夢の街創造委員会にはあるベンチャーキャピタルから資金が入っていた。それゆえ中村氏は社長としての自分の意志とは関係なく、否応無しに上場を一つの目標に置かざるを得なかったのだ。しかし、本来ならこじんまりとマーケティングコンサルの会社を地道にやっていこうと考えていた中村氏は、上場やベンチャーキャピタルについてそれほど詳しいわけではなかった。
「もともと私自身が創業者というわけでもありませんからね。上場して創業者利益を手にして、みたいな話も私に限ってはぜんぜん関係ない。ただ黒字転換したら上場というレールだけはきっちりと敷かれていたんです」
その黒字転換までが、イバラの道だったのだ。中村氏の予定では2年だったが、実際には倍の4年もかかっている。
「この間は想像を絶する辛さでしたね。ほんと、毎日ヤメたいと思っていました。でも、それを言葉に出しちゃ絶対ダメだし、辛いとさえ言っちゃいけないとも自分を戒めていました」
なぜ、そこまで自分を律することができたのか。折れそうになる中村氏の心を支えていたのは、時代は違えど同じくベンチャー起業者だった祖父の姿だという。
「おじいさまも起業家でした。それこそ山から木を一本ずつ切り出すところから始めて、最後は地場の有力デベロッパーにまで会社を育て上げた人です。社長には社員の生活がかかっていることを、身を以て示していました。私はまだ子どもだったけれども、その姿からいろんなことを学んでいたんでしょうね。だから赤字の会社というのは世の中には存在してはいけないんだなんて思い詰めて、本当に必死でしたから」
まさに歯を食いしばる思いでがんばってきた結果、遂に加盟店が4000店を突破する。当初の予定では3000店で黒字転換するはずだったが、実際には4000店が大きな転換点となった。
「4000店を超えてようやく黒字になりました。やれやれ、と思ったら息つく間もなく上場だと。まあ、流れの中でやってきたので、じゃあ次は上場なのね、ぐらいに思って準備を進めました」
▲店舗数の伸びとともに、店舗あたりオーダー数も伸びてきている。
■大阪の変わった名前のベンチャーがなんかやってる
「上場は、会社にとって確実にメリットがあるとは思っていました」
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FMO第12弾【夢の街創造委員会株式会社】
2008.08.12
2008.08.05
2008.07.29
2008.07.22