これまで失敗について書いてきましたが、そろそろこのあたりで「失敗学シリーズ」をいったん終わりにしたいと思います。 最後に、「大失敗をしないためのポイント」について、ご紹介しましょう。
ダートマス大学経営大学院のフィンケルシュタイン教授は、大失敗をしないためのポイントとして、以下の6つの項目をあげています。
・ワーストプラクティスから学ぶこと
・風通しのよい組織を作ること
・組織カルチャーを定期的にチェックすること
・ハイプに気をつけること
・失敗を恐れないこと
・アーリーウォーニングサインに注目すること
の6つです。
それぞれについて、紹介していきましょう。
ワーストプラクティスから学ぶこと
世の中には、ベストプラクティスから学ぶ組織は多く存在します。しかし、ワーストプラクティスから学ぼうとする姿勢を持つ組織は、決して多くありません。
失敗事例をあえて共有化し、そこから学ぶしくみを作ることは、同じような失敗を組織内で繰り返さないために、極めて有効な方法です。
失敗事例を共有化するためには、失敗を隠さない企業カルチャーが不可欠です。そしてそれは、一朝一夕にできるものではありません。
社員は、自発的に悪いニュースを報告することはありません。
自分自身を振り返ってみても、どうしても悪いニュースは後回しにしたいものです。
「バッドニュース・ウェルカム、バッドニュース・ファースト」
その姿勢・メッセージをトップが繰り返し繰り返しコミュニケートしていくこと。
そこからしか、ワーストプラクティスを共有し、学ぶカルチャーを作ることはできないでしょう。
風通しのよい組織を作ること
重要なことは、人を信用し、意見を聞き、発言の機会を与える社風を育てることです。
私が直接インタビューした、ある経営者は、
「一度でも反対意見を排したら、二度と反対意見は出てこない。“とにかく聞け”、と常に自らに言い聞かせている」
と語っていました。
「もの言えば唇寒し」とミドルが少しでも思い始めた時、その組織の大失敗は既に始まっています。
組織カルチャーを定期的にチェックすること
さまざまな階層で、さまざまな対象に対して時折組織カルチャーをチェックしてみることをお薦めします。
フィンケルシュタイン教授は、これを以下のようなチェックリストとしてまとめています。
?あなたの組織には、従業員が心から信じ、グレーゾーンに対しての判断のよりどころとなる価値観がありますか?
?あなたの組織のリーダーは、異論に耳を傾ける懐の深さがありますか?
?あなたの組織では、スタッフが、リーダーの譴責をおそれずに失敗を申告できますか?
?あなたの組織には、失敗から学ぶ、公式な、あるいは非公式なシステムがありますか?
?あなたの組織には、「これがうちのやり方だ!」という人に対する異論を受け入れる風土がありますか?
あなたの組織には、この中で当てはまるものがいくつあるたでしょうか?
この中で3つ以上当てはまるものがようであれば、その組織はとても危険だといえるでしょう。
(後編へつづく)
失敗学
2007.05.31
2007.05.31
2007.04.30
2007.04.30
2007.04.24
2007.04.18
2007.04.04