事業計画書 リスク管理: PESTなんて怖くない

画像: epSos .de

2008.06.06

経営・マネジメント

事業計画書 リスク管理: PESTなんて怖くない

入野 康隆

事業計画書におけるリスク管理のセクション。シリーズ:『今まで誰も教えてくれなかった事業計画の本当の考え方』最終回。

■■■ 「販売不振」がリスクとして語られていない

・ 資金繰りのリスク
・ 取引先の倒産リスク
・ 創業メンバー・スタッフの離脱
・ 大手企業参入のリスク
・ 十分な融資や投資が得られないリスク

などをツラツラと並べている割には、「販売不振」をリスクとして挙げていない事業計画書をよく見ます。

中小企業庁の統計では、日本企業が倒産する原因は以下のとおりです。

注目すべきは「販売不振」。

ダントツの65%。倒産原因としては圧倒的に多いのです。
私の経験でも、事業計画で最もハズれる確率が高いのが売上予測。

したがって、リスク管理のセクションに「販売不振のリスク」について何も書かれていないのはマズイです。

「経営者としての経験が浅く、現実を分かっていない」と経験のある投資家には判断されてしまうので注意が必要です。

中級者でもよくある間違い

■■■ 「どーせやる施策」を「注意してやります」と書いてるだけ

事業リスク管理のセクションには、「普通なら当然やること」をわざわざ記述する必要はないのです。

売上を上げるために当然やるべき施策(メールマガジンなど)は
「マーケティング・営業戦略施策」のセクションに記述すればいいのです。

品質リスクを下げるに当然やるべき施策(検査要員の配置など)は
「オペレーション計画(品質管理計画)」のセクションに記述すればいいのです。

事業リスク管理のセクションにわざわざ書く意味があるのは

1. リスクが発生しなければ、ムダになるような施策
2. コストや工数、時間がある程度かかる施策

例えば

・ 本当にやりたいシゴトだけではなく、
  日銭を稼げるアルバイトプロジェクトも並行して走らせる

・ 得意先A社からの収入で十分であっても、
  A社の業績不振に備えて取引先Bを開拓しておく

・ 売掛金の回収コストがかかるが、口座自動引き落としにする

■■■ ベンチャーだからこそとれるリスク≒チャンスに挑戦しない

過度にリスクを嫌って、チャンスを逃してしまうベンチャー企業があります。

リスクの対策には「回避」、「低減」ももちろんありますが、「受容」というのも対策の一つです。

よくあるケースは法律・規制リスク。

法規制が明確ではないので、規制リスクを嫌って大手企業が参入しにくい分野があります。

このような分野は規制リスクが参入障壁となるので、ベンチャー企業としてはスジのいいビジネスチャンスなのです。

ポイントは

・ 他人に迷惑をかけたり、他人を食い物にするビジネスは絶対にやらないのは大前提
  倫理的な問題ももちろんですが、そんなビジネスは長期的には儲かりません。

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