事業計画書におけるリスク管理のセクション。シリーズ:『今まで誰も教えてくれなかった事業計画の本当の考え方』最終回。
■■■ 「販売不振」がリスクとして語られていない
・ 資金繰りのリスク
・ 取引先の倒産リスク
・ 創業メンバー・スタッフの離脱
・ 大手企業参入のリスク
・ 十分な融資や投資が得られないリスク
などをツラツラと並べている割には、「販売不振」をリスクとして挙げていない事業計画書をよく見ます。
中小企業庁の統計では、日本企業が倒産する原因は以下のとおりです。
注目すべきは「販売不振」。
ダントツの65%。倒産原因としては圧倒的に多いのです。
私の経験でも、事業計画で最もハズれる確率が高いのが売上予測。
したがって、リスク管理のセクションに「販売不振のリスク」について何も書かれていないのはマズイです。
「経営者としての経験が浅く、現実を分かっていない」と経験のある投資家には判断されてしまうので注意が必要です。
中級者でもよくある間違い
■■■ 「どーせやる施策」を「注意してやります」と書いてるだけ
事業リスク管理のセクションには、「普通なら当然やること」をわざわざ記述する必要はないのです。
売上を上げるために当然やるべき施策(メールマガジンなど)は
「マーケティング・営業戦略施策」のセクションに記述すればいいのです。
品質リスクを下げるに当然やるべき施策(検査要員の配置など)は
「オペレーション計画(品質管理計画)」のセクションに記述すればいいのです。
事業リスク管理のセクションにわざわざ書く意味があるのは
1. リスクが発生しなければ、ムダになるような施策
2. コストや工数、時間がある程度かかる施策
例えば
・ 本当にやりたいシゴトだけではなく、
日銭を稼げるアルバイトプロジェクトも並行して走らせる
・ 得意先A社からの収入で十分であっても、
A社の業績不振に備えて取引先Bを開拓しておく
・ 売掛金の回収コストがかかるが、口座自動引き落としにする
■■■ ベンチャーだからこそとれるリスク≒チャンスに挑戦しない
過度にリスクを嫌って、チャンスを逃してしまうベンチャー企業があります。
リスクの対策には「回避」、「低減」ももちろんありますが、「受容」というのも対策の一つです。
よくあるケースは法律・規制リスク。
法規制が明確ではないので、規制リスクを嫌って大手企業が参入しにくい分野があります。
このような分野は規制リスクが参入障壁となるので、ベンチャー企業としてはスジのいいビジネスチャンスなのです。
ポイントは
・ 他人に迷惑をかけたり、他人を食い物にするビジネスは絶対にやらないのは大前提
倫理的な問題ももちろんですが、そんなビジネスは長期的には儲かりません。
次のページ上級者の使うテクニック
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
事業計画
2008.12.02
2008.10.22
2008.09.10
2008.06.22
2008.06.06
2015.08.03
2015.07.30
2015.07.27
2015.07.23