原料高騰に打ち勝つために現場バイヤーは何をやっているのでしょうか? 実は原料高騰はバイヤーにとってもバイヤー企業にとってもいいチャンスなのかもしれません。
2008年7月号の「月刊フォーブス」でも取り上げられていますが、「原料高騰に打ち勝て!」というテーマは昨今では購買部門だけでなく経営全体の課題となってきています。
同誌では、原料高騰に対する取り組みとして
1.軽量化(VE)
2.代替燃料化
3.共同購買
4.川上での原料確保(サプライヤマネジメント)
5.プロセス改善
の5つの取組を紹介していますが、どれも原料が高騰しているからやらなければならない、というよりも「通常のコスト削減等の取組そのもの」と言えるでしょう。
先日このメルマガでも取り上げたリサイクルの取組推進等も含めて「決まったものを安く買う」からの発想の転換が必要になる施策で、これはこれで進めていかなければならないのですが、短期的な取組とは言い難く、どれも効果が出るまでに時間を要する、所謂中長期施策だと思います。
一方で、バイヤーとしては「今何をするか?」という視点も重要です。
前に原材料高騰の場面でバイヤーは何をすべきか?という同じテーマについて述べましたが、
教科書的には
1.長期契約の締結による市況高騰リスクの回避
2.デリバティブ等のファイナンス手法でリスクをヘッジする
3.市況の専門家を設置し市況変動やリスク発生の兆候を早期に検出する
加えて有効な施策としては、
・サプライヤの集約ではなく分散を図る
これは基本的な二社購買等のリスク管理の手法ですが、特に市況が高騰している断面では、新規の取引に積極的なサプライヤを入れることで、市況高騰の価格反映を妨げる。また、これによりサプライヤ1社あたりの購買量(注文量)は減少します。サプライヤ側としては当然売上の大きい取引先との価格交渉にフォーカスするわけですから、購買量の減少により、サプライヤへの影響度を低減することにもつながります。
を上げています。
先日、購買ネットワーク会の参加者を中心として「材料費高騰とたたかうバイヤーの集い」がありました。
そこでもいくつか有効な短期施策が上げられました。
参考までにピックアップしますと
1.物流や在庫などのサプライヤのコスト削減をバイヤー企業側で協力する
2.営業とタイアップして売価を上げる
3.価格が上がる前に一定量を確保する
4.購買量が多い商社を通して購入する 等々
いずれにしてもコスト高騰に対する決定的な手法ではありませんが、正に現場のノウハウです。
一方で、どのバイヤーも共通しておっしゃっているのは
「市況(原材料)高騰によるコスト上昇は仕方がない」。ということです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。