連載1:日本企業においてCMOは必要か?

2007.05.11

経営・マネジメント

連載1:日本企業においてCMOは必要か?

上島 千鶴
株式会社Nexal ビジネス戦略、Web戦略コンサルタント

日本企業においてマーケティングに関わる業務は特に縦割り組織が多く、CMOの役割を担う最高責任者は不明確になっている。インターネットが普及している現在、フロントからバックエンドまでの全レイヤーを視野に入れ、リアルとネットのマーケティングの調和をどのように取っていくべきか、Webを企業活動の中にどのように位置付けるべきか、ユーザー企業の実態も踏まえて問題提起と、解決策のためのフレームワークを連載にて紹介する。

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現在BtoC・BtoBtoC・BtoBのWebにおけるコンサルティングを実施しているが、ユーザー企業内において各部門のマーケティング活動を、横断的に統括している責任者がいない実態に驚かされることが多い。

グローバル企業でのCMO(chief marketing officer)最高マーケティング責任者の役割は、日本企業では広報やマーケティング部の責任を持つ取締役か、営業統括責任者が兼任するケースが多い。

しかし、商品企画部、広報宣伝部、EC推進部、営業企画部、販売促進部、調査部、品質企画部、カスタマサービス部、などマーケティング部が存在しなくとも、マーケティングに関わる業務は様々な組織に関わってくる。

マーケティングの定義について、ここで細かく議論はしないが、極論を言えばマーケティングとは企業の価値・売上・ブランドを向上させるための手法や手段、スキルを総称していると考える。

一般的に経営学では、市場から期待する反応を引き出すためのツールとして、ジェローム・マッカーシーが提唱した売り手側から見た4P 
・製品(Product)
・価格(Price)
・プロモーション(Promotion)
・流通(Place)

または、フィリップ・コトラーが提唱した7P
・物的証拠(Physical evidence)
・プロセス(Process)
・人(People)

ラウターボーンが提唱した、買い手側から見た4C
・顧客価値(Customer value)
・顧客コスト(Customer cost)
・利便性(Convenience)
・コミュニケーション(Communication)

これらの手法をミックスさせて考えるべきだという各ツールはあるが、では具体的にこれらの視点で物事を考え、組織を横断して企業全体のマーケティングは誰が見ているか、という話になると疑問が残る。

今まで見てきたケースで、一番多いパターンが外部からマーケティングの役員を迎えること。しかし、現場と新任役員との摩擦が多く、すぐに辞めていく。それは何故か。。。

マーケティングの中でもプロモーションや販促しか経験が無く、バックオフィスとの連携、社内業務プロセスの改善、リアルビジネスの経験不足などが多く挙げられる。

特に顧客との接点はリアル店舗、コンタクトセンターやカスタマサポート、直販営業、販路経由などマルチチャネルになり、マーケティングの各ツールは理解していたとしても、多様な視点からの経験が必要になるため、現状の課題を認識しどのように改善・形にしていくのかという実践が伴わないことが多い。

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