スポーツへの参加障壁をなくし、誰でも「勝つ」可能性を秘めたスポーツが「ゆるスポーツ」 今では、企業でのイベントや企業研修にも取り入れられています。世界ゆるスポーツ協会の萩原拓也様に、ゆるスポーツの魅力とこれからの可能性についてお話をうかがいました。(聞き手:猪口真)
「ゆるスポーツを作る」というワークは、ビジネスにも大きく役立ちそうです。
萩原 けっきょくスポーツはロールプレイなんです。プロのスポーツは違いますが、体育でやるスポーツも研修でやるスポーツも一つのロールプレイで、こうやったら勝てる、こうやったら皆で楽しくできるというような、その状況の中で得たいろいろな知見を他の生活に生かすものだと思うのです。スポーツをすれば健康になりますが、一方でスポーツがないと死ぬという人もいないわけで、だからこそスポーツで得たもの、スポーツの良さをいかに他の部分に展開していくかがすごく重要です。
猪口 世界ゆるスポーツ協会としても、やみくもにスポーツの種類を増やすのではなく、今おっしゃったマインドが大事なわけですね。
萩原 おっしゃるとおりです。よく聞かれるのが「ゆるスポーツの目的は何ですか」という質問です。ゆるリンピックを開くことですか、オリンピック種目になることですかと。それはまったくありません。今おっしゃっていただいたように、やみくもに種類を増やすことでもない。ゆるスポーツというのはそれを考えた人がオーダーメイドできます。スポーツをやりたいけどできない人がいるなら、その人の分のスポーツを作ればいい。ただ、われわれが世界中のすべての人のスポーツを作るのは現実的でないので、「自分たちができないことや楽しくないことがあったら、それは作れるんだよ、自分たちでどんどん考えていいんだよ」と発信していきたいですね。
まずはスポーツを作って、ゆくゆくはそれだけでなく、例えば会社の嫌なルール、最近だとブラック校則だって作り替えてもいい。学校の校則も、別の言い方に変えてみればみんな守るのではないかと考えるようになってほしい。ルールは必要だけど、ルールの言い方もとても大事です。頭ごなしに周りが理解できないようなルールを人に押し付けても、やっぱりみんな守れません。それなりに必要な部分もあるし、ルールがあることでより過ごしやすくなる、楽しくなることもたくさんあると思うので、ゆるスポーツを参考にルール作りでいろいろなことを考えていただいて、生活をより良くして、楽にできたらいいなという思いがあります。
猪口 実際、世界のトップスポーツのルールも時代と共に変わっています。バスケットボールも昔は3ポイントのルールがなかったのが、ルールができてからは、体が小さくても遠くから打てる選手が増えたことでとても面白くなりました。
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