著書『Good Team 成果を出し続けるチームの創り方』(日経BP)も上梓し、人材/組織開発のプロフェッショナルと変わらず活躍を続ける齋藤秀樹さん。昔のマネジメントスタイルを捨て、組織のOSを変えなければならないと熱く語っていただきました。(聞き手:猪口真)
齋藤 制度や仕組みを整えることは悪くはないのですが、では何を鍛えているのでしょうか。OFFJTもOJTも含めて、仕組みや指導者がいて動いているのであればジョブ型は機能しますが、そもそもスカスカなのに枠だけ作ったって意味ないじゃないですか。そもそも日本は、子どもの時から個性を磨くような教育体系になっていません。標準化されて、その標準化された軸にたまたまあった人が優秀と言われているだけで、それ以外の人たちはやる気をなくしています。欧米だと根本的に違って個人主義が徹底しているので、自分のスキルを磨くことにわりと特化しています。日本人は、学校の点数はありますが、本当の意味での実力を磨くという視点が多分ないです。
猪口 今、国を挙げてスキルアップ、リスキル、リカレントなど言われていますが、具体的に何をやっていいか分からないし、何を目指せばいいかも分からないのが現状です。
齋藤 それも国が決めたスキルマップみたいなものがあって、それに当てはめていくのだと思いますが、そもそもそれが怪しい。今決めても、来年再来年に時代が動いて、そのスキルに意味があるのか分かりません。また、スキルをもう1回磨き直すといっても、そもそも磨くスキルがないのだから磨きようがありません。それができる育成能力の高いマネジメント層も少ない。多くの課長、部長のプレゼンを見てきていますが、本当に抽象的でひどいものが多い。部下に資料を作らせていて自分のスキルを磨いていないことが分かります。皆、評論家のようになり既得権を守ることに重きが置かれる。そういう意味では、組織の成長も個人の成長もそうですが、育成や成長の視点が今の日本全体で欠けています。
猪口 その課題に対して、コミュニケーションやどうやってチーム作りをしていくかというところから入られているわけですね。
齋藤 良いチームは、当たり前のことですが、個々のメンバーが有能です。では「チームの中で有能な人材はどういう人材ですか」という話になります。私は3つの壁という有能な人材になるための指針を提示しています。その中で最も重要なことは、組織の中で有能な人材は、他人とつながれる人材です。なぜなら、組織の力をチーム力と言いますが、チーム力はそもそもシナジーです。シナジーは相互支援力で、つまり、お互いがお互いを助け合うことによって生まれる力です。しかし、他人に興味がない人は他人を助けず、それでいいと思っている人が多い。会社や何らかの組織に入って仕事をする時、そういう人間がいると確実に組織の足を引っ張ります。だから現時点でそうだとしたら、「あなたは無能です」ということを誰かが言ってあげないと気付けないのです。今まで試験で100点さえ取れば有能だと言われ続けてきたので、違うと教えてあげる大人がいないと、彼らはまさにスキルをもう1回転換することができません。僕は嫌がられても、「あなたは個人としては有能でも組織人としては無能だよ」と言ってあげるわけです。
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