基盤のないところから独立し、苦労を重ねながら、現在は企業の人材獲得、大学・大学院のキャリア支援、面接官や人事評価社研修、メンタルヘルス研修等の分野で幅広く活躍。人とコミュニケーションの「戦略的活用」を掲げ、人と組織を支援し続けています。 インサイトナウの記事から大きく変わったと語る増沢さんにお話しを伺いました。(聞き手:猪口真)
増沢 クライアントに経営指導ができると勘違いする学生もいますが、できるわけがありません。「コンサルで企業にアドバイスしたい」「営業はしたくないけど、営業を管理したい」といったことを平気で言う学生がけっこういるんです。私ごときを説得できないのにどうやってお金を取るのでしょうか。そこでまたお金を取るというところに戻ってきます。お金を取るところは最後の山場です。マネタイズできなかったらビジネスではないわけで、経営で大切なのは売上です。売上を上げずにどれだけ経営改善したところで何の意味もありません。面接官の役としてそういった厳しいこと学生に伝えていますが、本音でもあります。そうした現実を理解しているか、コンサルディング会社は必ず見抜きます。
猪口 それは、ある程度キャリアを積んだ人たちでも同じように言えるかもしれませんね。
増沢 そう思います。一方で自信がない子も、特に理系に多くいます。「僕は基礎研究をやっているので、社会には何の役にも立たない存在です」「文学って人生詰んでいますよね」と言う学生がいますが、問題や謎を見つけて、その原因を探る。ソリューションを見出すトレーニングを学部や院でしているなら、専門分野やテーマには関係なく、十分企業社会に通用します。本質的な考察や原因究明ができるのが本当のエリートだと思います。
猪口 論理的な組み立てやそれを説明することも、広い意味での戦略的コミュニケーションの一環ですよね。
増沢 結局そうです。地頭が良いといいますが、薄っぺらいビジネス記事のタイトルだけを覚えてくるような学生ではなく、全然ビジネスに関係ないような、化石の地層を見ていたり、大腸菌の数を数えていたりする人の中に実は原石が埋まっていて、私はそこを企業にアピールしたいと思っています。15年大学教員を続けてきて、わかってくれる企業も随分増えてきました。勉強はしっかりするけれども少しだけ要領が悪い子たちの背中を少しだけ押してあげることが、今私がやっている仕事なのだと思っています。こうした学生との交流は、優秀な新卒学生を採用したいという企業の採用コンサルティングにもきわめて有効ですし、学生と企業の両方の立場を現場で理解できているのが今の自分の強みではないかと感じています。
本日はありがとうございました。
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インサイトナウ編集長対談
2022.08.12
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