「家電ライフスタイルプロデューサー」として、YouTubeも始めて、活動の場を広げてきた神原サリーさん、そして「サービス」をサイエンスと捉え、サービスを事業のコアとして推進すべきだと提唱する松井拓己さん。このお二人で、これからの時代、モノや情報の提供側として、サービスをどのようにとらえ、顧客に提供していけばいいのかを語り合っていただきました。
お客さん頼みのやり方は共創にはならず、メーカーが売っておしまいです。価値共創は、お客さんが価値を生み出すところを、サービス提供者がサービスとして設計し、サポートしていくことが必要です。それが評価に繋がり、評価が高いとまた次の期待が生まれます。次の事前期待をつくることがすごく重要なのです。サービスの観点で見ると、多くの企業でそこがアンコントローラブルで、「お客さん勝手にやっておいて」になってしまっています。そこをきちんとサービス事業として設計ができるかどうか、自分たちがマネジメントできるかたちでお客さんと一緒に進んでいけるかどうかが非常に重要です。サリーさんが言う「抜けている間をきちんと設計」しないといけないし、まさにそこが大きな伸びしろだと思っています。
神原 メーカーのお客さん頼みのやり方は、それだけ魅力的な商品だという自信があって、それこそが共創だと思っているのかもしれません。魅力的な商品だという自負を持っているわけですから、発想を変えれば、絶対に共創できるはずですよね。
松井 そう思います。サービスを考えるときのスタンスの変化というものがあります。昔、物が足らなかった時代は、お客さんの指示通りにつくっているだけで十分でした。これを「受身型」と言います。物が溢れてくると、今度はちょっと良いものが欲しくなります。ニーズが多様化してきた時代は「提案型」です。多様なニーズにどんどん提案をぶつけていきます。
では最近はどうなのかというと、良いものが溢れているので、お客さん自身が何を欲しいかわからなくなってきています。お客さん自身が自分のニーズがわからない中では、提案型のスタイルはあまり上手くいきません。欲しいものがわかっていないお客さんに、「お客さんならこれですよ」と言ってもフィットしないですよね。そこで、「探索型」のスタイルが必要になります。探索型は、「お客さん自身がニーズを探し出すところからご一緒しますよ」と、提案というより探索をします。このスタンスでご一緒できるかどうかが、おそらく抜けている間を埋めるプロセスになるのではないでしょうか。
「こんな使い方はどうですか」「使ってみてどうでしたか」といったコミュニケーションを含めて、一緒に探索をする。このプロセスにどう提供先側が関わっていけるかであって、そこに取り組まないと間が埋まらないのではないでしょうか。サリーさんはまさにこの探索型の情報発信や取り組みをされていると思って、それで、さきほどサービス的だとお話ししました。
神原 一瞬で見抜かれたのがすごいです。「探索」するというコンセプトはまさに私の仕事だと思います。私の仕事をわかりやすく解説いただいて、ありがとうございました。(笑)
これからもメーカーとユーザーの間を少しでも埋めていきたいと思います。
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インサイトナウ編集長対談
2022.08.12