【ビジョナリー対談】お客様自身が自分のニーズを分からない時代。「探索型」のスタイルが必要となる

2022.10.18

経営・マネジメント

【ビジョナリー対談】お客様自身が自分のニーズを分からない時代。「探索型」のスタイルが必要となる

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

「家電ライフスタイルプロデューサー」として、YouTubeも始めて、活動の場を広げてきた神原サリーさん、そして「サービス」をサイエンスと捉え、サービスを事業のコアとして推進すべきだと提唱する松井拓己さん。このお二人で、これからの時代、モノや情報の提供側として、サービスをどのようにとらえ、顧客に提供していけばいいのかを語り合っていただきました。

家電量販店の店頭には商品が並べられていますが、これは成果重視型のアピールで、スペックと価格を比較するという少し古いやり方です。むしろスペースをぐっと広げて、商品数を絞ってでも体験型にする。ぜひ触ってください、自由に使ってください、持ち帰って使って後で返してもいいですよといったかたちで、体験型の店舗を増やしていかないと、プロセス型の価値はなかなか伝わらないと思います。

楽器店では、楽器が並べられているところに「触らないでください」と注意書きがあります。高額なので、勝手に弾いて壊してしまう心配があるのかもしれませんが、旗艦店ぐらいは「ぜひ触ってください」に変えないと意味がありません。見るだけならカタログで済むことです。

少しでも体験してみると、奥さんに家事を任せっぱなしだった旦那さんもいかに大変かわかりますから、「いつもありがとう」の一言が出るかもしれません。

神原  家事で言うと、どれだけ感謝の言葉を口にできるかが、一番スムーズにいくポイントだと思います。そこに流れをつくるようなことができるといいですよね。今は家電量販店もショールーミング化して、体験してもらう場があります。掃除機でもドライヤーでも、今は充電してあったり、コードが電源に繋がったりして、いつでも使えるように変わってきています。

昔は私も売り場提案の仕事をしていましたが、やはり売り場よりもメーカー側の発信だと思うのです。今はSNSがあるので、流通を抜いてメーカーが買ってくれたお客さんに、直接ワクワクする使い方や新しいレシピを発信することができます。メーカーは、買ってくれた人が情報を発信してくれるといいと思っているようですが、それではあまりにもお客さん頼みです。その前に、買った人を幸せにするような情報をつねに出していく。途中で買って終わりではなく、その先を、メーカーがまさにサービスとしてやっていかなければならないと思うのです。

メーカーの役割も、大きく変わってきているのですね

松井  サービスでは「価値共創」という言葉を大事にしています。ものづくりは、メーカーが価値をつくって届けるので提供型になります。サービスの場合は、お客さんごとに期待が違うので、お客さんとコミュニケーションを取りながら、価値をお客さんと提供者が一緒につくらないとできません。例えば理美容店では、スタイリストが格好いいと思うからと、お客さんに何も聞かずに勝手に坊主にしてしまったらクレームものです。お客さんの好きな髪型を、「今日はどういたしましょうか」と話しながら仕上げていくわけです。このように、サービスの価値をお客さんと一緒につくるのが価値共創の考え方です。

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