新しい考え方や言葉に振り回されることなく、一貫性を持って自社らしい人事施策を打ち続けるには?
だからだと思いますが、人事ほど新しいコンセプトやワードが出ては消えを繰り返す分野はないでしょう。「評価」で言えば、360度評価(多面評価)、MBOやOKR(目標管理の仕組み)、コンピテンシー、ノーレイティング(ランク付けしない評価の仕組み)など。研修の内容には何年かごとに流行り廃りがあって、仕組みでもカフェテリア制度や選抜型教育などが注目されては下火になり、最近は学び直しやリカレント教育、リスキリングといった言葉を盛んに目にします。ほかにも、1on1ミーティングとか、心理的安全性だとか、エンゲージメント、リチーミングなどなど次から次に新しいものが登場してきています。人材系の会社のホームページを見ると「用語集」というページがよくありますが、それくらい人事関係の仕事をしている人でも混乱気味なのではないかと想像します。
新しい考え方や言葉に振り回されることなく、一貫性を持って自社らしい人事施策を打ち続けるには、総括から始めなければなりません。そして、しっかりした総括があれば、それが判断基準となって、新しい考え方やワードを適切に取捨選択し、効果的に活かしていけるようになるでしょう。そう考えると、総括とは人事施策の根本思想を作ることであり、人事担当役員や人事責任者が当たるべき重要な仕事と言えます。また、昔からの経緯経過をリアルに振り返るのは、自社で長いキャリアを持っている責任者だからこそできることでもあります。働き方の多様化や日本的雇用慣習の見直しが進む中、新しい考え方を学び、取り入れていく必要がありますが、それが流行に左右されただけに終わるのか、効果的な人事施策につながっていくのかは、人事部長の総括する力にかかっています。
組織というもの
2017.08.04
2017.08.17
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2020.07.11
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2022.08.04
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。