前回 (https://www.insightnow.jp/article/11500) に引き続き、人材開発担当として、企業内で多くの研修を企画運営されてきた富士 翔大郎さんと、ビジネスパートナーとしてお仕事をご一緒されてきたマーケティングコンサルタントの金森努さんと鼎談(第2回目)をお届けします。記憶に残る研修を作とは、、必読です。
富士 私も若い頃業務改善の全社大会でプレゼンしたのですが、あのステージでのプレゼンはTEDのようで、最高に気持ち良かったです。4年目の研修の初年度があまりに熱心に取り組んでいたので、これを経験させてあげたいと思い、人事部長に直訴し実現しました。またスタッフの中に元アナウンサーがいたので司会も社内向けにしては、かなり本格的な発表会に仕上りました。私がダイバーシティ室長を兼務していたこともあり、各社からお声がけいただき毎年様々な企業の人事部がオブザーブに来ていて、担当以上に走り回る私を見て驚いていました。確かに座っている暇は無かったですね。
研修とはマーケティングと問題解決
猪口 自分も会社のために研修をしたいという人事の方々に、どこから始めるか、どのような心構えでいるかなど、アドバイスはありますか。
富士 結局ビジネス全てがそうなのですが、研修についても大切なのはマーケティングスキルだと思います。人事部などスタッフ部門で問題なのは、経営サイドに近いために役員等の意見に影響されやすいことです。経営方針の上で人材育成は行われるので、間違ってはいないのですが、そちらに寄りすぎないフラットな姿勢も重要です。スタッフ部門にとっては社員がお客さまでもあり、現場の代理人としての機能も期待されます。そして人材育成は何と言っても上流のプロセスこそが大事です。現状と理想のギャップを調査分析しギャップを単純に埋めるだけではなく、本質的な理由を調べなければなりません。そこに手を打つのが研修です。そのためにはマーケティングと問題解決の手法が必須となります。例えば若手の意識が低いから意識を高める研修というコインの裏表やモグラ叩き(対処療法)は、ご存知の通り問題解決の手法としてはNGパターンですね。問題解決を教えている人材育成担当こそが、実践しなければいけないのです。
富士 マーケティングと問題解決という意味で、少し話を戻しますが、人材育成担当になる前に数百円のサービスを100 万契約獲得したという話は、それだけで本3冊分を書けるほどいろいろなことにチャレンジした結果なのですが、中でも一番印象的なエピソードがあります。このサービスの販売目標を達成するために、私は完璧なパンフレット等のツール類と完璧なプロモーションを用意して、あとは言った通り現場でやってくれれば絶対売れると思い全国に展開しました。、あとは果報を待つだけだったのに、一向に朗報が来ません。慌てて現場に見に行ってみると、肝心なパンフレットが店頭に出ていませんでした。理由を聞くと、それまでのプロモーションが良い結果ではなかったために、現場はそもそも積極的に動く気がなかったのです。デリバリーが機能していなかったわけです。素晴らしい商品で、どんなに素晴らしい企画書を作って、素晴らしいプロモーションを実行しても、結局販売員が売れると信じてくれなかったら売れないということですね。いい勉強になりました。販売員一人一人に売れる理由を伝えるために、早速全国行脚を開始しました。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
インサイトナウ編集長対談
2022.08.12