前回 (https://www.insightnow.jp/article/11500) に引き続き、人材開発担当として、企業内で多くの研修を企画運営されてきた富士 翔大郎さんと、ビジネスパートナーとしてお仕事をご一緒されてきたマーケティングコンサルタントの金森努さんと鼎談(第2回目)をお届けします。記憶に残る研修を作とは、、必読です。
富士 そうだと思います。さらに、この研修では、自由参加ですができるだけ懇親会をするようにしました。社内コミュニケーションと事業部を超えた人脈形成が、この研修動機をさらに高めるためにも必要だったからです。さらに、懇親会の後の事務局との交流も兼ねた完全フリーの二次会まで用意し、その二次会にも社長が時間を割いて来てくれるようになりました。社長までもやる気にさせてしまう研修だったということです。後日譚ですが、異動後に社長と話す機会があったのですが、「あの研修は最も印象的で勉強になった。またやりたいね」と言っていたので、本当に楽しかったのだと思います。この研修はのちにベテラン社員の特性を活かした活躍の場を作りたいという私の希望(提案)でできた品質関連の組織とそのためのリスキリングにより、企業業績の向上に影響を与えたと言う方もいました。人材育成が業績に影響を与えるという私の目標が曲がりなりにも実現した事例かも知れません。
金森 まだコロナの影響で懇親会はやりにくいですが、研修の後の懇親会はやっぱり楽しい。楽しいだけではなく、実は、講師にいろいろ聞きたいことがあったりもします。オンライン研修でも、私はよく終了後でも「時間は大丈夫ですよ」と言って質問を受け付けています。そこでいろいろ悩みごとが出てくれば、さらに定着するし、疑問も解消します。オンライン研修は、こちらからメッセージできるコンテンツのボリュームが対面研修に比べて絶対に減るので、聞きたいことはより増えるはずです。時間でバツっと切ってしまうとそこが解消できません。その後のフリーディスカッション、フリートークタイムを設けることが、今の時代には一番必要です。それに付き合ってくれて、「これは時間外勤務ではなく、自主活動として先生とお話ししたい人は残ってください」と知恵を使って言ってくれるような人事の方はありがたいですね。
富士 懇親会や二次会のお話はまさにその通りです。大きな効果を1回、2回で出すのは無理なので、二次会をやり始めた頃とそれから1年後、2年後では違っています。「どうやら二次会が面白いらしい、社長も来るし、講師もいるし、研修事務局の人事とも交流がある」というバイラルマーケティングが、すごく大事だと思っています。実は、人事が受講者と直接話すチャンスはあまりありません。アンケートではなく、生の本当の声は聞きたいですし、アンケートを読んでいつも意見や質問にも答えたいと思っていました。この貴重な時間を活かすため、大人しい受講生を社長の前に押し出して話をさせることもあります。背中を押してでもその経験をさせてあげると、やはり全然違います。そういったことを意図的にやっているので、言ってみれば演出家みたいなところもあるかもしれませんね。
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インサイトナウ編集長対談
2022.08.12