2022.07.08
【インサイトナウ編集長鼎談】プロフェッショナルとして、コンセプトペーパー、アクションプラン、オペレーション、すべてが必要(前編)
INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社
長年、人材開発担当として、企業内で多くの研修を企画運営されてきた富士 翔大郎さんと、ビジネスパートナーとしてお仕事をご一緒されてきたマーケティングコンサルタントの金森努さんと鼎談(前編)をお届けします。特に人材開発担当の方は必読です。
金森 今改めてお話を聞いて、富士さんの研修イズムに、自分が相当影響を受けていることに気がつきました。当時は、独立して講師業を始めてから5年ぐらい経っていた頃で、それなりに研修をこなせるようになっていましたが、自分しかできない研修とは何だろうと、金森流研修というものを模索していた時期でもありました。
私は、マーケティング部の人にマーケティング研修を行うことは多くありません。少数の専門職であるマーケティング部に教えるよりも、営業部などの人数の多い部署や、全社対象などの方が波及効果が高いからです。
また、私の研修のタイトルには「分かる」「身につく」「業務に活かせる」といったサブタイトルをつけることが多いのですが、「業務に活かせる」というのも「最終的に成果に結びつく(お金になる)」という富士さんのお考えと一緒です。使いこなすこと、業務として実を結ぶことにこだわっています。
研修のアンケートについては、講師はそれで評価されるので気にはしますが、注目するのは受講者がフリーアンサーをどれくらい書いているかと、フリーアンサーの中身です。そこにこそ、「本音」が現れていると思っているので。
猪口 富士さんが新しく研修を組み立てようとしたとき、あまたある研修会社、研修講師の中から、どのような基準で選別したのですか。
富士 順序でいうと、講師選びは後の段階で、重要なのはコンセプトメイクですから、まずコンセプトペーパーをつくりました。
実はショックなことに、異動が決まり大手を振って人事部に行ったものの、研修ラインナップはすべて前年度に決まっていたのです(所謂階層別研修は前年度踏襲がほとんどでした)。唯一残っていた仕事が4年目研修です。これこそ私が0から作るオリジナル研修第1作目の仕事になったのです。
早速コンセプトメイクのためのマーケティングを開始します。客観的な情報を集めながら、前年度の受講者やこれから受ける4年目社員を集めてヒアリングしたり、他の会社が4年目で何をしているか知るため、何社も訪問してヒアリングをしたり、その年の前半はヒアリング三昧でした。とにかく関連情報を集めて、課題を洗い出し、分析して、理想とのギャップを明らかにして対策として、OJTで組織育成や職場でやってもらうべきこと、自己学習してもらうこと、そして会社として直接サポートするための手段として、研修コンセプトを考えました。その一方で、世の中で離職問題が流行り始めていたので、社会情勢を把握するためにセミナーに参加したりいろいろな本や雑誌を片っ端から読みました。企画する人材育成や人材開発部門の人は研修する時間の10倍以上の時間をかけて自らが勉強しなければならないのです(これは教師や大学教授も同じですね)。
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インサイトナウ編集長対談
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